ゴールを設定しわすれたので、いつまでも歩き続けなければいけない。
最近人気の自動散歩靴で運動不足を解消しようと思ったのが間違いだった。
ゴールがなければ止まることができないなんて、とんだ欠陥品だ。
もう何時間になるだろう…
足はとっくに限界を超えている。
にも関わらず、靴が勝手に動くのだ。
いったいどうしたら良いのか。
そうだ携帯だ、携帯で製造会社に電話してみよう。
わたしは携帯を取り出し、番号を調べて電話をかけた。
「もしもし、靴にゴールの設定をするのを忘れてしまったんですが。」
「はい。」
「どうやったら止まりますか?」
「設定しない場合は、1時間で自動で止まるように設定されています。」
「え?全然止まらないですよ?」
「本当ですか?故障かな?」
「故障って、そんなことあるんですか?」
「いや、初めてのケースです。」
なんてことだ、累計一億足は売れているというこの靴の、初めての故障が自分に当たるとは…
「それで、どうすれば良いんですか?」
「それが、その…言いにくいことなんですが…」
「早く言ってください!」
「実は、全部普通の靴なんですよね。」
「え?」
「わが社にそんな技術力はありませんので、普通の靴に全自動靴とつけただけなんです。」
「…」
「なぜだかわからないけど、みんな自動で歩いていると信じこんでるんですよ。」
「そんなはずはない!わたしの靴は故障しているんだ!」
「いや、ですから…」
「もういい!!」
足を止めれば、止まれるのかもしれない。
だが、いまさらわたしに足を止める勇気なかった。
わたしの靴は故障している。
わたしの靴は故障しているんだ!
ラベル:小説


