「黒蜥蜴」を読みました。江戸川乱歩先生ですね。明智小五郎のシリーズなのかな、いまいちどういう時系列になっているのかとかは知りませんが、とにかく明智小五郎は出てきました。
そして、明智小五郎が出てくるシリーズはおもしろいですね。今まで読んできた中でも一番好きだったかもしれません。といっても、読んだ傍から忘れていってしまうので、最新の読んだ本が一番なだけかもしれませんが。
女怪盗黒トカゲと明智小五郎の戦いを描いている今作ですが、最初の方で明智小五郎が「どうせ狂言でしょ、盗まれるわけないし」と、若干手を抜いているところに度肝を抜かれました。一応対策は立てておいたおかげでなんとか痛み分けぐらいには持ち込むんですが、近ごろの名探偵は手を抜くことを知らない人が多いので、やけに人間味のある名探偵っぷりにますます明智さんが好きになりました。
また黒トカゲもとても魅力的で、ガンガン明智探偵を煽ってくるスタイルは読んでいて気持ちいいくらいでした。
わりとここまで読んできた乱歩作品はシチュエーションを組み立てることがメインだったように感じていたのですが、「黒蜥蜴」はキャラクターが立っていて非常に読みやすかったです。
名場面だなあと思ったのは、とある理由から黒トカゲが涙を流すシーンですね。極悪な女怪盗が涙する、その理由がまた切なくて、ラストシーンをよりドラマチックにしたてあげてくれます。
またそれによって、黒トカゲというキャラがより魅力的に感じました。明智探偵と裏をかきあいながら戦っていく中でどんどん魅力的になっていく。僕が作者なら5作品くらいは使いまわしたくなるぐらいのキャラでしたね。
いよいよもって乱歩作品をおもしろく読めるようになってきました。これで最初の方に読んではまれなかった作品ももう一度読めばおもしろく読めるかもしれません。
とりあえず20冊まであるみたいなので、そこまで読んでから改めて戻ってこられたらと思っています。
戻ってこられるかどうかはわかりませんけどね。
ラベル:江戸川乱歩