ちゃんぷる〜日記。

どうせ誰も読んでない。

2023年03月24日

日差し。

「あるいは、癒しなのである。」

書くということの意味がなんなのか、そもそもそこに意味があるのか。

私にはわからなかった。

教授はそんな私に、書くということの意味を教えてくれた。

そして、最後に今の一言を付け加えたのだ。

「癒し、ですか?」

「そう癒しだ。」

「たしかに癒されることもあります。」

「そうだろう。」

私は目をつぶった。書くことで自分自身が癒されている。それは確かにそうだった。

「でも。」

教授の目が少しだけ大きくなった。私が反論しようとするとは思わなかったのだろう。

「でも、なんだね?」

「たまに辛いです。」

はっはっは、教授は高らかに笑った。教授の笑い声を聞くと、私は自分が肯定されたような気になる。

「君はカレーは好きかな?」

「カレー?はい、好きですけど。」

「そのカレーはどれくらい辛い?」

「辛いカレーは苦手です。どちらかというと甘口が好きなんです。」

「そうか。」

教授は一瞬下に目をやり、何かを考えているようだった。そして、顔を上げると、私の目をじっと見た。

「では、今日のランチはカレーにしよう。甘口のやつだ。」

教授は歩き出した。ランチを食べに行くのだろう。

ボーっと立っていると、教授は立ち止まり、こちらに振りかえった。

「どうした?」

「どうしたというと?」

「ランチに行かないのか?」

「ご一緒してもよろしいんですか?」

「当たり前だ。おごるぞ。」

私は教授の横に並び、食堂を目指した。

「教授。」

「なんだ?」

「もしかして、つらいとからいをかけて何か言おうとしましたか?」

はっはっは。教授は笑った。

笑い声は青空に吸い込まれて、暖かな日差しとなっていく。

「なかなか辛口なコメントをしてくれるね。」

「そうでしょうか?」

「むしろ甘口だったかな?」

はははっ。私は笑った。

「おや、君が笑うとは珍しい。」

教授の驚いた顔。

「私だって笑うことはありますよ。」

私の笑い声は、空に吸い込まれただろうか?教授の笑い声のように。

「今日は日差しが暖かい。」

教授が空を見上げながら言った。

私はそれで、なんだかとても嬉しくなったのだった。
posted by どらっくす at 11:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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