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この世界は現実じゃない
あまりにも凄まじい映画。
まず映像表現として誰も見たことのない景色を作り出している。
思いついたとしても、撮り方がわからないような景色。
頭の中を映像化したらこうなりそうというリアリティがある。
そして、話がまあ素晴らしい。
単純に言ってしまえば、トラウマのある男がトラウマを克服する話。
それをこれだけ大きく話を広げて、一つのエンターテイメント作品にしてしまう。
クリストファー・ノーラン監督の手腕がいかに優れているかを思い知らされる。
夢や潜在意識というものに関する理解が深まった今だからこそ話も理解しやすくなった。
意識を何階層にも下に降りていくという設定自体が可能なのかはともかく。
潜在意識によって人間の行動が決められているのであれば、潜在意識そのものにアプローチすることで現実も変えられる。
いかに自然に潜在意識を変えてやるかが重要なのだ。
これはまさしく洗脳の手法なわけである。
ではインセプションは洗脳なのかといえばそれもまた違うのだろう。
洗脳とは結局のところ人格の作り直しが目的である。
いわば違う人間にするのである。
インセプションは、同じ人間に違う価値観を足すことによって行動の変化を促すという点が異なる。
だから失敗もあるのである。
言ってしまえば洗脳には肉体的なアプローチも必要だ。
インセプションはそれを心だけで行う点が大きな違いとも言えるだろう。
大雑把にいえば、人は己の心によって己の心を変えることができるというメッセージなのである。
そして、心が変われば現実も変わっていく。
深い苦しみを目にするのは辛いが、向き合えばきっと変われる。
あまりにもポジティブなメッセージが込められている。
ストーリー展開も感動的である。
そして、何よりラストカットのかっこよさ。
全てを見せ切るわけではなく。
それでいて、全てを感じさせる。
とてつもなく粋な作品であった。
生涯のベスト映画の一つ。
「インセプション」をU-NEXTで視聴 https://video-share.unext.jp/video/title/SID0003722?utm_source=copy&utm_medium=social&utm_campaign=nonad-sns&rid=P0001925898
ラベル:星5 クリストファー・ノーラン
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