「WWE:”壮大なるドラマ”の裏側」を見た。
★★★★★
明日も物語は続くアメリカのスポーツエンタテイメント団体WWEの裏側に迫るドキュメンタリー。
選手一人一人にクローズアップしていくというよりは、番組をいかにして作るかというところを撮影している。
アメリカではNetflixでのWWEの番組配信が始まっているからこそできたドキュメンタリーだろう。
WWEの知識がないと楽しむのは難しいかもしれない。
ある程度知っている自分は、満足というか、ここまで見せてくれるんだという気持ちで満点。
プロレスの裏側とまで言ってしまうと言い過ぎだろう。
これはあくまでもWWEというスポーツエンターテイメントの団体の裏側である。
ここまで大規模に物事を進められるプロレス団体は他にはない。
「”壮大なるドラマ”の裏側」というタイトル通りだ。
このドキュメンタリーにおいてラッキーだったのは、ジョン・シナのヒールターンというここ20年のプロレス界でも大きな出来事の裏側と鉢合わせたこと。
撮影スタッフが内容を知らないまま映像をスイッチングしていく緊迫感。
てっきり入念なリハーサルを重ねてのものだろうと思っていたのだけど、内容を知っている人間の指示を聞きながらリアルタイムで映像をスイッチしていくのには驚いた。
プロレスの枠外に見えるものも、意外と指示通りに行われていたり。
指示通りにやっていたとしてもアクシデントが起こったり。
虚実ないまぜにしながらも、日々のシナリオを進めていくのは見応えがある。
ガチガチにシナリオに縛られていたとしても怪我や事故を避けることはできない。
まさにライブエンターテイメントの頂点の一つである。
内容的にはもっと見たい部分も多い。
それでも一本一時間近くになってしまっている。
五本あるから、五時間。
足りないぐらいだった。
残念だったのは日本人選手がほとんど出てこなかったこと。
特に、ドキュメンタリー撮影中もすでに女子選手のトップの一角であったイヨ・スカイ選手はもう少し取り上げられても良かった。
リア・リプリー選手もビアンカ・ベレアー選手も取り上げているのに、チャンピオンであるイヨ・スカイ選手が出てこない。
英語力の問題等もあるのかもしれないが残念。
あくまでもWWEのシナリオやシステム、キャラクターに焦点を当てた内容であって。
実際に選手がリング上にどう持っていくかというところは少ない。
まあその辺はリハーサルを映すぐらいしかできないだろうし。
本当のトップシークレットなんだと思う。
選手同士のアイディア出しを見ていると、CMパンクという選手は本当に優秀なんだなと感じた。
やる前にすでに試合を俯瞰で見る能力があるから、インパクトのあるシーンを演出できるんだろう。
WWEのスーパースターたちが何をやっているのか、どう感じているのかの一端を知ることができて嬉しかった。
ただ、ある意味では見せられる綺麗な面だけを見せているとも感じた。
これだけ作り込まれていて、関わる人数も半端じゃないエンターテイメントであるのに、本人の感情までしか掘り下げていない。
他人への嫉妬や怒りなどは意図的に除外したのだろう、裏側を知っても憧れられる内容になっている。
そこまで踏み込んでしまうとエンターテイメントとして成立しないということなのだろう。
そういう意味では、暴露的な裏側ではなく、きちんとした裏側。
メイキング的な内容に近いとも言える。
なので「うわあこの試合もう一回見てみたいな」という気持ちになった。
シナ復帰からレッスルマニア41までは結構WWE見ていた時期だったので余計にそう思えた。
イヨがあんまり取り上げられなかったのは不満ではあったけど、女子の一推しはリア・リプリーなので満足感はあったな。
来日公演を見に行けば良かったと改めて思います。
WWE: "壮大なるドラマ"の裏側 | Netflix
https://www.netflix.com/title/81928921