どらっくすのちゃんぷる〜日記。

どうせ誰も読んでない。

2014年05月21日

木陰

見上げれば、
巨大な木が、
ただ立っていた。
木陰で横たわる僕を、
影で包み込むように、
ただ立っていた。
「逃げられないのか?」
この世が、僕を追ってくる。
どこへ行こうにも、
どこにも辿りつけなかった。
大きな木は、
やさしく僕を包み込もうとする。
どうにも、それがわずらわしいのだ。
「やめてくれ。」
木は黙って立っている。
僕は半身を起こし、辺りを見回した。
木の向こうには、
小さな池があった。
僕は起き上がると、
ゆっくりと池に向かった。
陽射しがあたたかい。
そのあたたかさもまた、わずらわしいのであった。
池の中に入ると、
水はひどく冷たかった。
あっという間に僕は、
体の自由を失った。
冷たい水に包まれて、
動かなくなった体。
「まだ、逃げられないというのか…」
呼吸は止まり、
体は池の底に沈んだ。
そうして意識は分散し、
水になり、木になった。
はじめから、逃げる場所などなかったのだ。
気がついたときには、
僕は、僕を捨て、命そのものとなっていた。
ラベル:小説 日記
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2013年01月10日

『グイン・サーガ3 ノスフェラスの戦い』もんっのすごいおもしろかった。

グインサーガ三巻を読みました。ネタバレもあるかもしれないので注意を。
この巻はおもしろかったー!
やっぱりバトルシーンがあると燃えますね。

『内容紹介
パロ王国の正統なる血をひく双生児リンダとレムスは、モンゴール軍に追われて妖魔の支配するノスフェラスの地へと逃れた。2人と行を共にするのは、豹頭の超戦士グインと傭兵イシュトバーン、そして蛮族セムの娘・スニ。彼らはセムの力を借りて、追っ手の小部隊を蹴散らしたが……。人外魔境に展開するシリーズ第3弾。』



バトルシーンと言っても、個別の戦いではなくて全体対全体なんです。
これが非常におもしろい。
どうなっていくかというのはなんとなくわかるんです。
そんなに複雑な戦略ではないですから。
ただ、そこをグイグイと読ませてくれる。
いやぁ素晴らしいです。
Evernote Camera Roll 20130110 231429.jpg

前二巻でもかっこよかったグインは、三巻に来てもはや軍神の域に達しています。
特に、二巻の終わりからの流れをどう突破するのかと思っていたら…
まさかのハイパーかっこいい状態。
マッチョですわ。

あとがきを読む限り、あと二巻ぐらいはこの辺りの戦いが描かれる予定みたいです。
そして、そこで序章が終わりと。
壮大なサーガですね。
まだ序章の途中だったと。

四巻がどうなるかはわかりませんけど、とりあえず一区切りするらしい五巻までは読んでみようと思っています。
これから読む方に対して言うことがあるとすれば、三巻までは読んでからやめるかどうか判断したら良いんじゃないかというくらい気に入りました。
ブログ書き終ったら続きを買おう。
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2013年01月09日

『グイン・サーガ2 荒野の戦士』荒野を駆ける豹頭の戦士

Evernote Camera Roll 20130109 220731.jpg
グイングイーン!
というわけで、グイン・サーガの二巻を読みました。
一巻の感想はこちら→(http://champru.seesaa.net/article/311289937.html

『内容紹介
新興モンゴールの手でパロの王国は滅び去った。
からくも辺境に落ちのびた王族、リンダとレムスの姉弟は、そこでグインと名乗る記憶を失くした豹頭の超戦士に助けられた。
しかしその彼らもついに捕らわれ、辺境の砦に連行されてしまう……。未曾有の大シリーズ第2弾。』


さて、二巻になってなんとなくスケールも大きくなってきました。
単純に登場人物が増えたからというのもありますが、一巻で感じていた世界がさらに広がった感覚を覚えます。
その原因は、でてくる怪物たちにあるでしょう。
彼らのおかげで、なんだかとてつもなくわくわくできる世界を感じています。
味方、敵、そして怪物という三者がいることで、次はどこが出てくるんだろうという広がりがあるんでしょうね。

グインのサーガとしては、ついに始まったという印象を受けました。
二巻を読み終えてみると、一巻はプロローグに過ぎなかったなという印象です。
ようやく序章が始まった。
そんな印象を残したところで終わってしまうのが二巻でした。
もう、三巻を買ってしまいましたよ。

長い話ですし、何巻まで読むかはわかりませんが、もう少しだけグインサーガをたのしんでいきたいと思っています。
kindleストアの割引が終わっちゃったら、どうするか考えると思いますしね。
かといって、先行してたくさん買っておくと、間違いなく積んでしまいますので。
デジタルでも積むという表現を使うのかはわからないですが。

いずれにせよ、とにかく読んでいてたのしい。
硬派なファンタジーですね。
ベルセルクとか、そっち系です。
まぁ自分の中でのイメージは、SDナイトガンダムなんですけどね。

絵は、二巻で印象的だったシーンなんですけど…自分でもこんなシーンが本当にあったかはわかりません(笑)
たぶんあったんじゃないかな。
絵からしても、自分の中での変化がわかりやすいんじゃないかな。
一巻は、キャラ紹介の側面が強いと感じたんでしょう。
二巻は、戦っている印象だったのかな。
三巻は、どうなっていくのか?
たのしみです。
グイン・サーガ2 荒野の戦士
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2013年01月05日

『ポー短編集〈1〉ゴシック編』ぬるりとした恐怖に支配された世界。

Evernote Camera Roll 20130105 231248.jpg
ポー短編集を読みました。
「アッシャー家の崩壊」が有名ですが、なんとなく頭に残ったのは「黒猫」と「赤き死の仮面」でした。
わかりやすい話だからでしょうね。

『内容(「BOOK」データベースより)
詩人であり、批評家であり、推理小説の祖であり、SF、ホラー、ゴシック等々と広いジャンルに不滅の作品の数々を残したポー。だがその人生といえば、愛妻を病で失い、酒と麻薬に浸り、文学的評価も受けられず、極貧のまま、40歳で路上で生を終えた―。孤高の作家の昏い魂を写したかのようなゴシック色の強い作品を中心に、代表作中の代表作6編を新訳で収録。』


ゴシック色の強い短編を集めたと言われれば、なるほどゴシックかと思います。
ただ実際のところ、ゴシックに関して、どれほど詳しいのかと問われれば、まったくわかりません。
なんとなく感覚ではわかっているような気がしているのですが、言葉で説明しろと言われると困ってしまう。
中世っぽい感じでしょうか。

中世っぽい感じで、少し不気味な雰囲気を漂わせているのでゴシックホラーと言われるのかもしれません。
なんというか、よくわかりません。
全体を通して、不気味な雰囲気に満ち溢れているのはたしかです。
それは実際よりも、大きな不安を見ているからなのだと思います。

黒猫は、どこまでいってもただの黒猫だよ。と思ってしまう人間には、到底たどり着けない文章なのです。
言葉をつむぎ合わせていくうちに、不思議と恐怖にも似た不安を引き寄せてきてしまう。
外を通る人の笑い声は、あなたを殺しに来た殺人者の高笑いかもしれない。
だんだんと近づいてくる。
そうしてふと気がつく。
ああ、これは現実ではないのだと。

中世の城の中で、ダンスを踊り。
自分にそっくりな人間と向かい合おう。
その恐怖が、あなたを支配するときには手遅れ。
あなたの精神は、すでに蝕まれてしまったあとなのだから。

恐怖は忍び寄るのでなく。
ただそっと、背後に立っている。
黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編 (新潮文庫)
黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編 (新潮文庫)エドガー・アラン ポー Edgar Allan Poe

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ラベル:ポー
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2013年01月03日

グインサーガ一巻をさらっと読みました。豹頭って書いてあるのに、頭の中では狼になっていた。

Evernote Camera Roll 20130103 173321.jpg
グインサーガ一巻をさらっと読みました。電子書籍です。
いやぁ、なんかおもしろかったです。
久しぶりにファンタジーを読んだんですが、結構はまれそうですね。
男臭い感じがプンプンしてくるし、謎にも惹きつけられる。
どうなっていくのか、先が気になる感じです。

内容紹介:
『中原の由緒正しき王国パロは、新興モンゴールの侵略の前に一夜にして滅び去った。
王家の血をひくリンダとレムスの双子の姉弟は、ある力によって妖魔の跳梁する辺境の森に逃れた。
だが追手の厳しい追及は、たちまち3人を窮地に追い込む。
そのとき忽然とあらわれた豹頭人身の怪人・グインが二人を救い出すのだった! 
壮大な構想のもとに繰り広げられる絢爛たるドラマの開幕!』



豹の頭をした男、グインの話だからグインサーガ。
単純なんですが、このグインが魅力的なんですよね。
べらぼうに強い。マッチョな男です。
そして、脇を固める双子はかわいくも芯のある人間。
弟の方はまだまだ頼りない感じなんですけど、これからどう成長していくのかが楽しみです。

読んでいて、世界に浸っているのが気持ちいいんです。
これがファンタジーの良いところですね。
やさしさ溢れる感じのファンタジーではなく。
血と剣と妖しさが醸し出すファンタジーなので、好みは分かれるかもしれません。

豹頭というのが、また無意味に想像を掻き立ててくれますね。
表紙に描いてある絵が豹なんでしょうけど、読んでいる間に想像していたのは、上の絵のような感じです。
犬っぽい。
なんとなくイメージとしては、狼のような感覚だったんですよね。
いや、豹なんですけど。豹って書いてあるのは重々承知しているんですけど。

印象としては、粘っこい感じで。
色としては、粘っこい赤ですね。赤黒い色。
血のイメージなのかな?
それでいて、カラッとした部分もあるんです。
それが、双子の姉であるリンダが出てくる部分ですね。
良いアクセントになっていて、基本的には赤黒い世界なんですが、さまざまに変化しているように感じます。

とりあえず3巻くらいまでは読みたいなぁと思っているので、続きをたのしみたいです。
グイン・サーガ1 豹頭の仮面: (1)
グイン・サーガ1 豹頭の仮面: (1)栗本 薫

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2011年06月11日

もしも涼宮ハルヒが佐々木だったらまったく違う話になっていたかもしれない『涼宮ハルヒの驚愕』

涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
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このブログを読んでくれた読者さんの内のどこぞの誰かさんが、このブログ経由で買ってくれたからというろくでもない理由で購入した割には、ハルヒ自体は知らないわけでもなかったので楽しめました。
なんだか早速に影響を受けて、若干回りくどい語り口調になってしまいそうな自分がかわいいやら気に食わないやらで、つまるところキョンの口調が気に入ってしまったというわけだ。

内容紹介
『驚愕』前後巻の2冊に加え、谷川流書き下ろしショートストーリー、いとうのいぢ描き下ろしイラスト、初めて明かされる制作秘話など豪華内容を収録した特製小冊子「涼宮ハルヒの秘話」が付いてくる!

「驚愕」が世紀の傑作であるなんてことを言うつもりはない。
そもそも世紀の傑作であるかどうかを個人が判断するためには、今世紀に出版されたであろうありとあらゆる書物を読んだ上で、誰が読んだ上でも納得できる世紀の傑作たる理由を述べねばならないわけで、そんなことが一介のニートもどきである自分にできるわけもない。

「涼宮ハルヒ」シリーズを気に入るかどうかは、結局のところキョンを気に入るかどうかにかかってくる。
こいつの口調はキザったらしい古泉に文句が言えるような立場じゃないほどにまどろっこしい。
真っ直ぐに進めば三歩で済むところをキョンに語らせたら軽く十歩はかかる。
古泉に語らせたら二十五歩はかかるから多少はましかもしれないが、それも五十歩百歩ってやつだ。

小難しい概念やら、哲学者の名前なんかをまじえて、決して軽妙とは言えないリズムで進んでいく。
そこがたのしいところなのだ。
つまりはそれが谷川流の考えるキョンというキャラクターの持っているリズムであり、おおよそ一般的とは言えない面々に囲まれているキョンのとまどいやら高揚やらなのだ。

分裂の感想(キョンという存在の距離感が抜群。「涼宮ハルヒの分裂」)でも書いたが、キョンの持つ他人との距離感は面白い。
そして、一般的な人間を装っていて、一般的な人間の範疇に納まるような反応でありながら、その実全く一般的でない反応をしている。

そういう気持ちを本編の最後で佐々木が代弁してくれている。
これには非常にすっきりとした気分を味わった。
佐々木という存在はこれからもシリーズにとってはかけがえのない存在になるだろう。

「驚愕」が出るのには4年かかったというが、次は案外早く出るのではないかと思う。
4年かかった理由はよくわからないが、話が複雑になりすぎて手に負えなくなったなどという理由ではないだろう。
もっと単純な、ボタンの掛け違いのようなものがあったのだと思う。

そして、その掛け違った理由のひとつは佐々木なのじゃないだろうか。
佐々木というキャラクターは魅力がありすぎる。
だからこそキャラクターとして動かすのには向いていない。
いや、向きすぎていてハルヒ以上に活躍してしまうかもしれない。
しかもハルヒとはまったく別のやり方で。

そう考えた時に、「涼宮ハルヒ」というシリーズそのものの最初のボタンを掛け間違えたかもしれない。
そんな風に感じたのではないかと思います。
もちろんこれはどらさんの妄想です。
でも、それぐらいに佐々木というキャラクターは魅力があるのです。
もしかしたら、今までのシリーズ全てを佐々木に置き換えた時にもっと良いものになったのではないかというビジョンが作者には見えたのかもしれない。
そんな風に想像してしまいました。

次は意外と早く出るんじゃないかなと思っています。
なぜなら「驚愕」を終えたことで、書けそうなことがたんまりと増えているからです。
しいていえば、どれから手をつけるか悩むぐらいのものでしょう。
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
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2011年06月10日

キョンという存在の距離感が抜群。「涼宮ハルヒの分裂」

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)
涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)
先日「涼宮ハルヒの憤慨」も読んだのだけれど、なんとなく書く機会を逸してしまった。
そうこうしている間に分裂も読み終わってしまったので今度は書きそびれないようにしないとな。

内容(「BOOK」データベースより)
桜の花咲く季節を迎え、涼宮ハルヒ率いるSOS団の面々が無事に進級を果たしたのは慶賀に堪えないと言えなくもない。
だが爽やかなはずのこの時期に、なんで俺はこんな面子に囲まれてるんだろうな。
顔なじみのひとりはいいとして、以前に遭遇した誘拐少女と敵意丸出しの未来野郎、そして正体不明の謎女。
そいつらが突きつけてきた無理難題は、まあ要するに俺をのっぴきならない状況に追い込むものだったのさ。大人気シリーズ第9弾。

さてさてこの「分裂」だが…びっくりした。
なぜなら…これはある種のネタばれかもしれないのでやめておこう。
とにかく仕掛けがあります。
そしてその仕掛けがどうなるのかわくわくしてページを進めていくと、最後に「驚愕」に続く。

えー!!

この状態で数年待たされたファンの忍耐力にもびっくりですね。
ちなみに仕掛け自体が新しいということではなくて、これをどう料理するのかに興味があったのです。
途中から「あれ?これページ数足りなくない?どうやって終わらせるの?」という気持ちになりつつも、相当な大どんでん返しを期待しただけにちょっと残念な気持ちもありましたね。

続くのかよ!

思わずつっこみたくもなるというものです。

ハルヒを読んでいると、キョンの言い回しのおもしろさに魅力を感じます。
小泉が佐々木を『粒子のような振る舞いをしながら波動としての仕事もする、まるで光のように』とたとえた時、キョンはこう言います。

『不可抗力だったのかどうかは知らん。偶然という単語は聞き飽きた。ましてや光が持つ二重性についてなど一生無縁にしていたい。
ともかく、俺と佐々木は駅前に歩を進め、二人して立ち止まったところはいつもの場所だった。』

Chapter3 光と物質の二重性

表現としてわかるようでよくわからないけど、キョンの持っている気持ち自体はよくわかる。
「不可抗力」「知らん」「偶然」「聞き飽きた」「光が持つ二重性」「一生無縁にしていたい」
そして「ともかく」と話を進めてしまう。
こういうキョンの興味のなさが心地良いんですよね。
あらゆるものと一定の距離をとっておきたいという距離感の設定の仕方。

だからといってクールともまた違って、非常に人間味がある距離感の持ち方をしている。
ここに共感する人が多いのが人気の秘訣なのかなと思います。

小泉のやつがまたキザにたとえを出してきやがったという読者の気持ちを、三段階に分けて代弁してくれているのがキョンなわけです。
それでいて、なるほど佐々木はそういう二重性を有した存在なんだなということも頭に残すことができる。
筆者が、光という表現をつかうことで佐々木のキャラクターを明解に説明しようと考えたのがよくわかります。

さて、それではそろそろ驚愕を読みだしますかね。

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2011年05月05日

いつも見えてるはずなのに、目を凝らさなければ見えぬもの。「まひるの月を追いかけて 」

まひるの月を追いかけて (文春文庫)
まひるの月を追いかけて (文春文庫)
ネタばれもありますので気になる方は読まないように。

恩田陸さんの本は初めて読みました。
非常にリズムの良い作家さんですね。
ここで次の展開が来て欲しいというところでばっちり来てくれるのでテンポ良く読むことができました。

内容(「BOOK」データベースより):
異母兄が奈良で消息を絶った。たったの二度しか会ったことがない兄の彼女に誘われて、私は研吾を捜す旅に出る。早春の橿原神宮、藤原京跡、今井、明日香…。旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。それは真実なのか嘘なのか。旅と物語の行き着く先は―。恩田ワールド全開のミステリーロードノベル。

ロードムービーに近く、読んでる途中で奈良に行きたくなりました。
これ一冊を抱えながら辿ってみるのもおもしろいかもしれません。

序盤の怒涛のミステリー展開から後半のふわっとした大人のファンタジーへの切り替えが見事。
その分、結末があっさりしているように見えてしまうのがもったいない。
もう一度読み直してみると、序盤はミステリではなく主人公の混乱であり、主人公の内面と共に読者の思考もまた整理されていくのがよくわかります。

ところどころに挿入されている童話のイメージをうまく作品の中に取り込んでいます。
なぜ童話が挿入されるのか?
おそらくこれは読者自身のその童話に対する漠然としたイメージをも喚起させた上で、それを喪失と再生の物語に置き換えてしまおうという試みだと思います。

さらっととんでもないことをしようとしているな。

童話というのは心の奥深いところで根付いていたりしますから、そこのイメージを変化させるというのは面白い試みです。
なんとなく報われてないような話でも、喪失と再生の物語だといわれれば、「ああ、なるほど言われてみればそうかもしれない」と納得してしまいます。

ラストシーンがあっさりしているような感じがしたというのもここに原因があります。
静にとって抑えていた母への感情を吐露することは、ひとつの喪失だったわけです。
研吾がなぜそれを聞いて静かを連れて行くことを決心したのかといえば、それは良かれ悪しかれ静の母への感情を再生させなければならなかったからでしょう。

一人の人間に対するイメージが、新たに再構築されたところで物語を終える。
導入をミステリ仕立てにして、読者の興味を引き付けたのもすべてこのラストのためです。
恩田陸の童話とはこういうものなのでしょう。

ミステリーと思わせて実は童話という大転換も、さらりとこなしてしまう恩田陸さんの手腕は素晴らしい。
別の作品も読んでみたいなと思います。

まひるの月を追いかけて (文春文庫)
恩田 陸

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木曜組曲 (徳間文庫)
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2010年11月13日

のぼう様は萬斎よりも伊集院光が良い。「のぼうの城」

のぼうの城 上 (小学館文庫)
のぼうの城 上 (小学館文庫)

のぼうの城 下 (小学館文庫)
のぼうの城 下 (小学館文庫)

面白かったー!
野村萬斎さんが主演で映画化されるそうですが、間違いなくアニメにした方が向いてます。
うーん、アニメにも向かないかもわからない。
キャラクターが立ってるんだけど、心情はよくわからない。
たぶん作者もわかってない(笑)

史実とかと照らし合わせながら、キャラを立てて書いていく内に一人歩きしだしちゃったんだと思う。
当然新人だろうなと思ったらやっぱりそうでした。
でも「のぼうの城」の良いところは変にまとめあげようとせずに、そのまま勢いで流しちゃうところ。
なんでそう考えたんだろう?って考えても仕方ない。
そんなものは描かれてません。

特にのぼう様は、最後の1ページにいっても「なんかよくわからん人だったなぁ」というぐらいわかりません。
それなのにたまらなく魅力的。
これは野村萬歳じゃないよ、伊集院光だよ。
すごくぴったりだと思う。

描けていない部分、ああ…この辺もうちょっと読みたい…という部分でも平気でぶった切る。
非常にパンクな作品でした。
スピード感、読みやすい、たしかにそう。
薄い、キャラの心情がわからない、たしかにそう。
どっからどう見てもいびつ。
でも、のぼう様だから仕方ない。
それで許せちゃうし、許しちゃうしかない。
それぐらいのぼう様。

おしいのは歴史小説だからこれ以上のぼう様の活躍が見られないことね。
もうちょっと見てみたい。
もうちょっと見てみたい。
そんな要素があちこちにある作品でした。
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2010年04月21日

血の匂い漂う町とハードボイルド。「赤い収穫」ダシール・ハメット

赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 143‐2))
「赤い収穫」
読みづらさはあるもののテンポよく進むので楽しく読めました。
ただ今までいくつかのハードボイルドと言われる作品を読んだが、未だにどういうものなのかわからない。
そしてこの作品でさらにわからなくなりました。

暴力、美しい女性、鉄の意志を持った主人公。
全体を通して読んだ時にからからに乾いてくる。
それらはハードボイルドに欠かせない要素なんだと思います。
おそらくは主人公の持つ鉄の意志こそが、ハードボイルドそのものなのでしょう。

でもこの「赤い収穫」を読むと、何かそれ以上の何かがあるような気がしてしまいます。
それは町の匂い。
漠然とした言い方ですが、たぶんそんなものなのだと思います。
描かれている町全体に漂う空気を吸うと、乾き、酒が欲しくなる。
主人公をハードボイルドと呼ぶのなら、この町の匂いには何と名づけたら良いのか。
血の匂い…そうか、この町は血の匂いなのかもしれない。
「赤い収穫」を終えて、この町の匂いが変わる時に物語は終わりを告げる。

だが読者の中に残る乾きは癒されない。
出来る事はただ酒をあおる事だけだ。
さすがにアヘンは入れられないけど。
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2010年04月13日

柳 広司「吾輩はシャーロック・ホームズである」パロディの限界と面白み。

吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)
「吾輩はシャーロック・ホームズである」
題名通りのパロディ作品、夏目漱石はあんまり読んだことないのでよくわからないがシャーロック・ホームズの雰囲気は良く出ていた。
語り口や文体はよくもまぁそっくりにできるもんだなぁと感心した。
あくまでパロディ作品であって素晴らしい!と手放しで褒められる程ではなかった…
でもシャーロック・ホームズと夏目漱石を題材にした同人と考えればクオリティは高かった。
事件自体は実際(?)のシャーロック・ホームズなら10ページの間に解いてしまいそうな内容だが、ワトソンが語るようにシャーロック・ホームズを演じる奇妙な日本人ナツメの事がその哀れさも含めて好きになってしまう。
シリーズ化するぐらいの勢いでいけばもっと面白くなった可能性もあったと思うが、中盤までにナツメを好きになっても終盤にその気持ちが昇華される事がなかったのが残念。
現実的な終わり方であるとは言えるが、そもそも設定自体がぶっ飛んでるのだから終わりもはじけて欲しかった。
以前に読んだ「トーキョープリズン」は中盤からの盛り上がりから現実的な終わり方への収束が作品の雰囲気に合っていたのでうまくいっていたが、作者の持ち味をフルに生かせる設定ではなかったのかもしれない。
トーキョー・プリズン読んでみた感想。
どちらの作品もシャーロック・ホームズの影響は感じるが、キャラクターの魅力も「トーキョー・プリズン」の方が上。
パロディの面白みと共に限界も感じる一冊だった。
ナツメをもっと描いて欲しかったな。
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2010年03月13日

柳 広司「トーキョー・プリズン」読んでみた感想。

今日は池袋でお買い物でした。
まったく何も買わずに帰ってきたので疲れただけでしたが…
でも楽器屋と電気屋をうろうろしてるだけで楽しい!
今日池袋の電気屋の電子ピアノコーナーでにやにやしながらいろいろ試しているのを見た人、それはわたしです。

さて今日読んだ本。
トーキョー・プリズン (角川文庫)
トーキョー・プリズン (角川文庫)
戦後の戦犯収容所が舞台の小説。
小説を読むにあたって一番気になるのは作者の価値観という人にはオススメ。
何が悪で、何が正義なのかをバンバン問いかけてきます。
これがまた響きますね、心に。
特に、日本人の精神のいびつさは誇張されつつも現代にも通じる面がかなりあると思います。
戦争の一番の責任者であるはずの天皇陛下が許され、その下で命令されていたはずのものたちがなぜ処刑されるのか?

それは天皇に責任がないからである!
そして天皇に責任がないのであれば、私たち日本国民に責任があろうはずがない!
そんなところでしょうか。
我々は今現在もスケープゴート探しに夢中です。
「問題の本質を隠されていた!」
そう叫びながら私たちは責任を誰かに押し付けている。
目を開ければ良いだけなのに、誰かに起こされるのを待っている。

そんな日本人の国民性を皮肉りつつもメインの流れはホームズへのオマージュも込めた探偵小説。
でも、誰が犯人なのかを知った後に残るのは、自分がスケープゴートを探しているのではないだろうかというじっとりとした不安。

物語の構造は責任者を探す→スケープゴートを発見を繰り返していくというものになっています。
何が真実なのか?それを追い求めれば求めていくほど、ドンドンとスケープゴートが現れていく。
責任者は一体誰なのか?
探せば探すだけスケープゴートが出てくるわけです。
いきつく先はどこなのか、それは自分自身です。

キジマ=フェアフィールドなのは作中でも示されています。
じゃあなぜ作者は二人に分けたのか?
他者による自己の再発見を経て、結局のところ責任者は自分自身であると認識する。
それは読んでる読者も同じ、どんなに責任者を探しても永遠に見つからないよ、お前ら目を覚ませと作者は言ってるわけですね。
善と悪の判断の物語でした。

と思ったんですが、最後の方の展開を考えるにそれだけじゃないかもしれませんね。
ネタばれになってしまうので深くは言いませんが、自分が責任を取る事は他の人に責任を取らせない事でもあるわけです。
それでも責任を取る事は正しいのか?
そっちの方が解釈としてしっくりきますね。

呟きながら考えをまとめたのでよかったら聞いてみてください。

最初に録ったのはもっととりとめのない内容だったんだけど、二回ぐらい呟くとだいぶ考えがまとまるなぁ。
それにしても昨日のやつは再生数が全く伸びない。
サムネイルには何かしら画像を使わないとダメなんだな、きっと。
そうに違いない。
別の理由は思いつかないし…まさかつまr
なんでもないです。
posted by どらっくす at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月12日

【小説】「容疑者Xの献身」東野圭吾

容疑者Xの献身 (文春文庫)
容疑者Xの献身 (文春文庫)
「容疑者Xの献身」の献身読み終わりました。
以下、ネタばれも多少ありますので、どうしても嫌な方はページを閉じてください。

暇つぶし時間:急いで読んで3時間

先に演劇集団キャラメルボックスの演じた演劇版の方を見ています。
こちらも素晴らしい演劇でしたので、時間のある方もない方もオススメします。東京では5月24日までの上演予定です。

■「容疑者Xの献身」感想
高校時代に東野圭吾の作品はいくつか読んだことがあった。
どれもうならされるようなトリックが使われていて、推理小説にあまり触れたことのなかった僕はえらく感心した。

この本に触れる前に最後に読んだ東野作品は「白夜行」だと思う。
ただの推理小説作家ではなくなったように思え、それきり読むのをやめてしまった。今ではどんな話だったかも覚えていない。
ただ、漠然と暗い話だった気がする。

「容疑者Xの献身」は昨年映画化もされており、ドラマ「ガリレオ」のヒットもあり注目作であった。
「ガリレオ」は見ていないので、どんなものなのかはわからないが、「実に面白い」というセリフが有名である。

この原作「容疑者Xの献身」は、僕の持っているイメージの中の東野圭吾作品にぴったりと合うものだった。
トリックは刺激的で、空気はひたすらに重い。

トリック自体は思いつかないというものではないが、その隠し方は非常に巧妙である。
それについてはこちらのブログが詳しい↓
「容疑者Xの献身」に破綻や矛盾はあるか? -快投乱打な雑記帳

■「容疑者Xの献身」他の人の感想を読んで。

石神と靖子の関係を誤解している人が多いが、石神は靖子が良い女だったから守ろうとしたわけではない。
惚れていたのは事実である。
しかし石神が本当に守ろうとしたのは、靖子と美里の持つ空気…月並みな言い方をすれば親子愛である。

その動機自体すらも誤読させるように構成したのは、草薙が石神に持った違和感を読者にも与えるためである。
靖子が好きだから起こした犯罪という前提を持てば、石神はなぜそんなに靖子に惚れたのか?という疑問を持ってしまう。

だが、彼が本当に守りたかったのは靖子自身ではない。
日曜日に風に乗って運ばれる親子の会話の美しさだ。
それを守ることに比べたら、彼自身の恋愛感情などというものは取るに足らないものなのだ。

その辺りはしっかりと描かれていると思うのだが、途中までの靖子に惚れているから犯罪を起こす石神という前提を外すことができるほどかどうかは人によると思う。
そもそもそれが動機として成り立つのも、石神という人物にどれほど感情移入できたかで決まるのではないかと思う。

■「容疑者Xの献身」本格ミステリ?また、この作品は「本格ミステリ」かどうかという論争が起こったそうだ。
それに関してはこちらが詳しい↓
■[M]『容疑者Xの献身』をめぐって-ENDING ENDLESS 雑記帖

発端となった「二階堂黎人さんの日記
あまりにも長いし、時期もバラバラになっているので興味のある方だけにした方が良いと思います。僕は読んでません。

そもそも僕は小説を読んでいるという感覚なので、本格か否かというのは何の意味もない論争です。
でもきっちり分かれていないと、気持ちが悪いという人の気持ちもわかります。
犬と狼は似ているけど、一緒ではないだろうという感じです。

でも結局のところ、そういった分け方というのはみんなの感覚としてあるべきであって、みんなが良いなら犬と狼は一緒の動物として扱っても良いというのが僕の考え方です。
見た目が似ていれば、どっちでも良いというか、見た目も本質の一つの要素だと思います。

■最後に
この作品は、読んで愉快になれるものではありません。
でも、この作品が投げかけている“あなたの持っている前提は疑うべきものなのかもしれない”という問いは、普遍的な要素であると思う。

僕はこの作品を読んで、また新たな視点を持つことができたと感謝の気持ちでいっぱいだ。
ラベル:
posted by どらっくす at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月06日

【小説】「貧しき人々」ドストエフスキー

貧しき人びと (新潮文庫)
貧しき人びと (新潮文庫)

ドストエフスキーの「貧しき人々」を読んだ。

■「貧しき人々」について。
「貧しき人々」は、ドストエフスキーの処女作である。
軍務を退き、この作品の執筆に没頭して完成させる。1846年に刊行。
「貧しき人々」は批評家ベリンスキーに「第二のゴーゴリ」と評され、華々しいデビューとなった。

この作品はゴーゴリの「外套
」パロディーとも言われており、どちらの作品にも共通して下級な貧乏役人が登場している。

■「貧しき人々」感想

この作品の中にある美しさ。
それはどんな時にでもワーレンカへの愛を失わないジェーヴシキンの姿である。
怒ったり、悲しんだり、喜んだり、彼はまさに人間そのものである。

貧乏な時は卑屈であり、お金を持てば幸せの絶頂のように振舞う。
しかし、そのどちらの時にもワーレンカへの愛は変わる事がなかった。
そこに美しさを感じてしまうのだ。

彼はうまく生きられない人間である。
だからこそ彼の声は胸に響いてくるのだ。

愛がなければ人は生きられない。
だが、その愛の前にこそ貧困は立ちはだかる壁であるのだ。


PRそれでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条
ラベル:小説
posted by どらっくす at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月31日

「深海のyrr」-海に対して人間は無力だ。

深海のYrr 上 (1) (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1) (ハヤカワ文庫NV)
深海のYrr 上 (1) (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1) (ハヤカワ文庫NV)
深海のYrr 中 (2) (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2) (ハヤカワ文庫NV)
深海のYrr 中 (2) (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2) (ハヤカワ文庫NV)
深海のYrr 下 (3) (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3) (ハヤカワ文庫NV)
深海のYrr 下 (3) (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3) (ハヤカワ文庫NV)

08年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第9位、「このミステリーがすごい!」海外編第11位にランクインしたドイツ発の海洋系SF&パニック小説。
1644ページにも及ぶ大長編で、読み応えは充分過ぎるほど。
上中下の三冊となっていますから、間違って間を抜かさないように注意してください。
実際、「ダヴィンチコード」では中を抜かして読んじゃってた、なんて人も友達の中にはいましたので(笑)こんな人出てきたかなぁ?なんて思いながら何となく読みきっちゃったらしいです。意外といけるもんみたいですね。

この深海のyrrは海洋サスペンスとアドベンチャーとパニックをあわせたようなSFです。
綿密に調査したであろう海に関する科学的知識に溢れています。
僕自身は詳しくないのでわかりませんが、巻末の解説にそのことが少し触れられていました。最近の科学の発達は凄いですね。
下巻辺りに出てくる潜水艦には一度乗ってみたいです。
凄くスムーズに進むみたいなんですよね。

内容紹介
ノルウェー海で発見された無数の異様な生物。海洋生物学者ヨハンソンの努力で、その生物が海底で新燃料メタンハイドレートの層を掘り続けていることが判明した。カナダ西岸ではタグボートやホエールウォッチングの船をクジラやオルカの群れが襲い、生物学者アナワクが調査を始める。さらに世界各地で猛毒のクラゲが出現、海難事故が続発し、フランスではロブスターに潜む病原体が猛威を振るう。母なる海に何が起きたのか?

ヨハンソン博士がかっこいいんですよ!
作者のイメージ的にはジョージクルーニーのようですね。
渋い大人の魅力溢れる男に描かれています。
そして、もう一人の生物学者であるアナワク。
こちらも魅力のある人物です。
彼と敵対している環境保護団体のグレイウォルフ。
この二人はセットで魅力的な存在で、詳しい話は置いておきますが二人の間にある深い繋がりは友情という言葉だけでは表現できない気がします。

上巻は、人物紹介も兼ねておりゆったりとしたスピードで進んでいきます。それでも、地球に何かが起きている異変をびんびん感じてしまいますね。あー怖い。
そして、中巻で話は大きく動いていきます。
いやぁ、中巻はもう速読法をマスターしたい!というスピードで読んでしまいましたね。

深海の描写が、何となくリアリティがあるんですよね。
僕が好きだったのは、深海に向かえば向かうほど、下に潜っていく感覚がなくなってしまう。
最終的には上に向かって泳いでいるような錯覚を覚えていくという表現ですね。
なるほど、だから人は溺れてしまうのか!
上下の感覚なんていうものは、それぐらいあやふやなものなんですね。

やはり、この作品というのは深海のと付いているところからも、海に興味がある人が読むと楽しめるんじゃないかと思います。
それも、海に対して漠然とした恐怖を抱いてる人ですね。
畏敬の念と言い換えてもいいかもしれません。
ハリウッド映画化も予定されているので、映画原作!とかなる前に気になる人は読んでおいた方がいいでしょう。そういう帯付いてると買うのがちょっと恥ずかしいですからね。
海に興味のある方全てに読んでいただきたい作品です。

以下ネタバレあり。
ハイドゥナン〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
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深海
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深海/未知なる海の宇宙 [DVD]
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深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち
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LEGO 8636 Mission 7: Deep Sea Quest (レゴ エージェント 深海作戦)
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ディープアクアリウム 奇跡の深海
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2008年07月04日

夢に心を奪われた人々へ 「夢の守り人」

夢の守り人 (新潮文庫 う 18-4)夢の守り人 (新潮文庫 う 18-4)
上橋 菜穂子

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「守り人」シリーズの第三巻、「夢の守り人」を読みました。
今回も非常におもしろかった。
このシリーズの特徴は、作りこまれた世界観にあります。
登場人物たちはその世界に生きていて、自分はその行動を見守っている、そんな気持ちにさせてくれます。
ここ最近は、ハリーポッターに代表されるファンタジーブームでしたが、その中に入っても決して負ける事のない強い世界観を持った作品です。
物語は、女用心棒のバルサを中心として進みますが、バルサがまたとても魅力的な人物です。
暗い過去を背負いつつも、それに負けぬ精神力、それでいながら強さと弱さを抱え思い悩む姿には共感させられてしまいます。
ファンタジーというのは存在しない世界ですから、この共感させられてしまうというのは一つ重要な要素だと思います。
違う世界を生きながら、どこか現実の自分たちと似通っている部分がある。それこそが人間の本質的な部分なのではないかと思わされるのです。
子供には少し難しいかもしれませんが、こんな作品を子供の頃から読む事には充分価値があると思います。
小野不由美の「十二国記」シリーズの持つような壮大な世界がそこに広がっています。
ファンタジー好きな方は読むべきシリーズでしょう。
続刊が楽しみです。


夢の守り人 (新潮文庫 う 18-4)夢の守り人 (新潮文庫 う 18-4)
上橋 菜穂子

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闇の守り人 (新潮文庫 う 18-3)闇の守り人 (新潮文庫 う 18-3)
上橋 菜穂子

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精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2)精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2)
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気になる一言
「澱んだら、また風穴をあければいいのさ。」

いつでも綺麗な心でいたいものです。続きを読む(ネタバレあり)
posted by どらっくす at 19:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月17日

みんなが小説を書き出せば楽しい 「冲方丁のライトノベルの書き方講座」

冲方丁のライトノベルの書き方講座 [宝島社文庫] (宝島社文庫 C う 1-1)冲方丁のライトノベルの書き方講座 [宝島社文庫] (宝島社文庫 C う 1-1)
冲方丁

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「マルドゥックスクランブル」などで有名な沖方丁のライトノベルの書き方講座。
といっても、気楽な文体で、自分はこんな感じで書いてますよ。というような事が書いてあるだけ。あんまり深く考えず、さーっと読んでこれぐらいなら書けそうかなと思ってもらうのが目的だと述べている。

ただ、これを読んだら書く気が起こるかというのはまた別問題。
人によっては難しそうだなと思ってしまう事もあるだろう。まぁそんな人がこんなタイトルの本を買うかどうかはわからないけども、プロットってもっと適当でいいのかと思ってたらかなりがっちり決めるんだな。
なんてとこにプロと素人の圧倒的な差を感じてしまう。

中身は技術論が書かれているわけではなく、沖方氏の著作のうち「マルドゥックスクランブル」「カオスレギオン」「蒼穹のファフナー」を取り上げ、それぞれどのようなプロットを構成したかというのを当時のメモを参考に再現し、さらにどう調整したかをまとめている。

特に「蒼穹のファフナー」のプロットは見事で、冗長と感じる部分をばっさりと切り、当初の三分の一以下にはなっているのではないかと思う。
僕自身は切る前の方が面白そうだとは思ったが、「蒼穹のファフナー」は様々なメディア展開を考えた作品だったそうなので、原作があまりにも長かったり、的が絞れていないと他の人が困ってしまうという側面もあり大幅に削除したようだ。
そういった、作成面での苦労した心情なども綴られているので、沖方氏のファンなら買って損はないし、小説を書きたいという人には参考になる本だと思う。
ちょっとしたコツのようなものも書いてあるので、その辺だけでも立ち読みして、価値がありそうなら買ってみればいいだろう。

気になる一言
「必要なのは千人の中堅作家と、一万人の新人と、百万人の同人作家です。」

業界が発展するために必要なものということで出た言葉です。
ゲームに例えるならPSPよりDSってとこですかね。
敷居が高くなればなるほど、規模は縮小してしまいます。
天才が一人でひっぱっても業界の裾野は広がらないということですね。
モンハン一本が売れたからといって、PSPはDSには追いつけないというわけです。
ゲームの話ばっかりだなゲーム

冲方丁のライトノベルの書き方講座 [宝島社文庫] (宝島社文庫 C う 1-1)
冲方丁のライトノベルの書き方講座 [宝島社文庫] (宝島社文庫 C う 1-1)冲方丁

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starsバイブルとしてではなく、広告塔として。

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マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)冲方 丁

おすすめ平均
starsSFXばりばりのアクション映画かアニメか・・・
stars【物語の既視感】
stars戦うということ、生きるということ
stars激情。
stars情景がまざまざと浮かんでくる描写が素敵

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posted by どらっくす at 06:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月05日

見事に騙された。 「葉桜の季節に君を想うということ」

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
歌野 晶午

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みごとに騙されてしまいました。
いやー、久々にこんなに騙されましたね。
彼女が45kgに痩せたよ!ってメールを送ってきた時と同じくらい騙されました。

あらすじ
自称「何でもやってやろう屋」元探偵の成瀬将虎は、後輩のキヨシに同じフィットネスジムに通う久高愛子のお見舞いに誘われる。
病気と言っていた愛子であったが、実はおじいさんの隆一郎が死んだためにジムに来なくなったという。
愛子は隆一郎の死に不審感を抱き、成瀬に死の真相を確かめてくれと依頼する。
健康グッズ販売会社蓬莱倶楽部、それだけのヒントを元に、成瀬は事件を解決できるのか!?


とまぁこんな感じでしょうか。
軽い感じの文体は心地よく読みやすいので、長さの割には早く読めるかなと思います。
うーん、それにしてもこの読後感は人によっては不快になる可能性もあるので何とも言えないですね。
事実、アマゾンのレビューも若干荒れ気味ですし。
でもこういうのが好きな人にはたまらないでしょう。
あまり、前情報を入れずに純粋に楽しんでいただけたらなと思います。

気になる一言
「嫌ということはないよ。ただの思い出さ。」

たまにあるハードボイルドっぽさがまた良いですね。

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
歌野 晶午

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ラベル:本 小説
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2008年01月09日

「ダンテ・クラブ」



「ダヴィンチコード」ブームの中ひっそりと発売されていた本作、中身は濃すぎるほどに濃く人によっては読みづらさを感じるかもしれない。「ダヴィンチコード」は良い意味での軽さもあったのであれ程大ヒットしたとも言えるかもしれない。
最大の違いは、「ダヴィンチ〜」が現代ものであるのに対して、「ダンテ・クラブ」は歴史ものであるという事である。
詩人ロングフェローのいた時代を、「ダンテ・クラブ」はありありと描写してくれている。
1865年のボストンの空気を存分に味わえ満足できる反面、極上の推理小説とまでは達していないのが若干残念ではある。

しかし、これを機にダンテや、ロングフェローの詩を読んでみたいという気にさせられた。
ダンテの「神曲」を読んだことはないが、この本を読むと少なくとも「地獄篇」についてある程度知る事ができる。
もっともっと知りたいという知識欲を駆り立てられる本だった。


あとがきを読むと、この作者はダンテの研究者だそうだ。
ダンテを読んでみたいと思った時点で、この作者の手のひらの上で転がされていたと言えるのかもしれない。
ダンテを読んでみたいが、その一歩が踏み出せないという人の背中を、この本が押してくれる事になるのは間違いない。

ダンテ・クラブ 上巻 (1) (新潮文庫 ハ 51-1)ダンテ・クラブ 上巻 (1) (新潮文庫 ハ 51-1)
マシュー・パール 鈴木 恵

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2007年10月02日

優しい煉獄


http://www.tokuma.jp/bunko/dual-bunko/512a3057304471497344
『優しい煉獄』を読んだ。
企業が構築した仮想世界の中に、仮想人格たちの暮らす町が存在する。企業がやっているため、現実世界での金がなくなれば即消されてしまう。現実世界で生きていれば問題もないが、彼らのほとんどは現実世界ではすでに死んでいる。仮想世界とは言え稼がなければ死んでしまう。主人公はそんな世界で私立探偵をやっている。

設定としては奇抜でないながらも、『星界の紋章』などのように世界観がしっかりしているので、読んでいる内にこの世界に居心地の良さを感じた。
内容はハードボイルド探偵小説でありながらも、ところどころにSFの設定が表れ、それが全体の印象を柔らかくしている。

この本を読んでいると、高校の頃にチャンドラーの『長いお別れ』を読んだ事を思い出す。
『長いお別れ』は、高校生の僕には文字通り「固ゆで卵」のように飲み込みづらかったが、『優しい煉獄』はハードボイルドの雰囲気を残しつつも、あくまで読みやすく中高生のハードボイルド入門にはちょうど良さそうだ。

最近『ロング・グッドバイ』として、村上春樹訳の版が出たが、そこに挫折した人は、これぐらい軽い所からハードボイルドの魅力に触れてみるのも良いだろう。
またその逆に、ハードボイルドからSFへの架け橋にもなりうるのが、この作品の強みである。


posted by どらっくす at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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