どらっくすのちゃんぷる〜日記。

どうせ誰も読んでない。

2014年09月08日

「雨の日の放課後の教室」

今日は雨だった。
「雨ってさ。」
ブルは、外を眺めていた。
「憂鬱になるよね。」
ブルの言葉に答えずに、柴ちゃんは窓の外を見た。
雨だった。
「ブルから憂鬱なんて言葉が出るとは思わなかったよ。」
「オレだって、そんな気分になることはあるよ。」
「ドリル終わった?」
「まだ。」
ブルの居残り勉強に、柴ちゃんは付き合っていた。
「ドリルってさ、何の意味があるのかな?」
「知らないよ。」
「大人になっても、絶対使わないよな。」
ブルは笑い出した。
「絶対使わない。なんでやってんだ、こんなの。」
ブルはひとしきり笑うと、飽きたのか再びドリルに向かいだした。
柴ちゃんは、雨の降る校庭を、ただ眺めていた。
教室に、カツカツという鉛筆の音が響いていた。
「柴ちゃんさ、帰らないの?」
「うん。」
「なんで?」
柴ちゃんは、校庭を見ていた。
ブルは、なんとなくそれ以上聞くのもためらわれるような気がして、再びドリルを解きだした。
「雨。」
しばらくしてから、柴ちゃんがつぶやいた。
「ん?」
「雨、止んできた。」
「もしかして、雨降ってたから帰んなかったの?」
「それもある。」
柴ちゃんは椅子から立ち上がると、カバンを机の上に置いた。
「帰るの?」
ブルの声に、少しだけさびしさがこもる。
柴ちゃんはため息をついてから、
「トイレ行ってくるから、戻ってくるまでにドリル終わらせといて。とっとと先生に提出して帰ろうよ。」
と言って、教室を出て行った。
閉まるドアに向かってブルは「おう。」とだけ言った。
ブルのたてる鉛筆の音が、大きく早く、廊下にまで響きだした。
柴ちゃんは少し笑って、廊下の窓から外を見た。
大きな水たまりに、少しだけ波紋が広がるときがあったが、雨はほとんどあがっていた。
ラベル:ブル柴 小説
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2014年01月27日

「秘密」大体千文字小説

「秘密」

どういうわけだかはわからないが、人には言えない秘密を抱えてしまった。
つまりは殺人というやつである。
朝、目が覚めたら、隣に見知らぬ人が死んでいた。状況的に見ると、僕が殺したのだろう。
だけども、どうしても思い出せない。
こいつはいったい誰だっけ?
確かに見覚えはあるのだけど、どうやっても名前が思い出せない。
そういえば、なんでこいつが死んでると思ったんだろう?
もう一度死体の顔を良く見て、すべてがわかった。
「ああ、死んでるのは僕だったのか。」

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どうも、どらっくすです。
大体千文字小説です。タイトルは「秘密」
千文字より長いのは書いたことがあったけど、短いのはなかったなと思って、極力短く書いてみました。
もうそういうタイトルというだけで、千文字にこだわる必要もないかなという気持ちになってきました。
ショートショートみたいな、アバウトな感じで。いや、ショートショートがアバウトなのかは知りませんけどね。
自分の顔って、意外と覚えてないですよね。
まぁ、一生覚えなくても困らないものかもしれません。
ラベル:千文字 日記
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2014年01月16日

『羽毛』大体千文字小説

どうも、ときめきの探求者ことどらっくすです。
ようやく少しだけ闇を抜けたようです。
というわけで大体千文字小説です。タイトルは「羽毛」。
前回はこちら。

『焚き火』大体千文字小説
http://champru.seesaa.net/article/384929079.html

また二千文字超えてしまいました。途中でやめて、二日に分けてもよかったんですが、せっかくなので書ききりました。

闇を抜け出した理由としては、行動を見直したことですね。
ラジオを聴きながら歩くとか、食べながらテレビを見るとか。
そういうことをやめて、一つのことに集中するようにしました。
もちろん、これからまた二つのことを同時にやろうとすることはあるでしょうけど、詰まってきたらまた一つに戻していきたいと思います。
特に、食べるときに、食べることに集中するというのは大事ですね。
ダイエットにもなるかもしれません。

自分自身をコントロールすることは、簡単だけど難しいですね。
一瞬で変わってしまう。
それでも、一つ一つを大事にすることで、つかめていくものがあるのだと感じています。

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『羽毛』

「まただ。」
ジーマの故郷ヨールデンに向かう途中、二人は度々巨牛の群れが通った跡に出くわした。
巨牛の群れは、全てをなぎ倒していく。木々は倒れ、草花は荒れ果て、やがて枯れていく。
だが悪いことだけではない。
そうして掘り返された大地は、また新たな生命を生み出すことにもなる。
「ふむ。」
ジーマは荒れ果てた大地を調べていた。何度となく出くわしているうちに、ある傾向に気がついたのだ。
「また西に向かっているな。」
「うへぇ、西に何かあるってのかね?」
「そうかもしれん。」
言葉とは裏腹に、ジーマの顔は東に向かっていた。
「あるいは、東に何かいるのかもな。」
「巨牛が逃げ出す程のかい?」
「ああ。」
「だとしたら、相当おっかない化け物だな。」
ナラシダは体を軽く震わせた。
「それにしても、ヨールデンにはまだ着かないのか?」
「まだしばらくはかかるな。順調にいけば一月というところだろう。」
巨牛が暴走を繰り返しているせいか、本来出会ってもおかしくない凶暴な魔物には、ほとんど会わずに済んでいた。
順調すぎるほどに順調ではあったが、それでもヨールデンは遠い。
「もう少し行ったところに、村があったはずだ。」
「うひょお!久しぶりにゆっくりと休めるな。早く行こうぜ。」
ナラシダが走り出そうと体勢を整えたところで顔をしかめた。
「どうした?」
「聞こえる。」
ナラシダは巨牛の作った荒地を進み、生き物を両手に乗せて戻ってきた。
「見ろ。かわいいぞ。」
ふわふわとした羽毛に包まれ、短い足と短い羽。鳥類にしては威厳のない姿であった。
「こいつは、何て生き物だろうな?」
「わからん。」
「まぁ、いいや。」
ナラシダはその生き物を肩に乗せた。
「おっ、ちゃんと乗るじゃねぇか。」
「連れていく気か?」
「なに、村まで連れて行けば、面倒みてくれるやつもいるだろ。」
意気揚々とナラシダは歩き出した。
「村まではどれくらいだ?」
「一時間もあれば着くだろう。」
「そっか、じゃあその間に名前を考えよう。」
ジーマは深くため息をついた。

村に着くまでの間、ナラシダは驚くべき発想力で、様々な名前を考え出した。
「どうも良いのがないなぁ。」
「もう村に着く、預ける人に考えてもらえ。」
「旦那はわかってないなぁ。他人に貰うときは、名前があった方が良いんだって。」
「そういうものか?」
「預かってるって気持ちが残るからな。大事にしてもらえる。」
「なるほど。」
村まで辿りつくと、ナラシダはさっそく飼い主を探そうとした。
だが、誰一人として話を聞こうとはしなかった。
その上、二人を取り囲むように、次第に人数を増やしていった。
「どうなってるのかね、この村は。」
「おかしいな、旅人には友好的な村だったはずだが。」
「あんた達、そいつをこれ以上村にいれるんじゃないよ。」
中年の女性が、大声をあげた。
「どういうことだ?」
「どういうことでもないよ。そいつは不幸を呼ぶんだ。」
「こいつが?」
ナラシダは、ふわふわとした羽毛をなでた。
「そうは見えないね。」
「あんた達、そいつが何か知っているのかい?」
「いいや。」
「そいつはケツァルコアトルさ。」
ケツァルコアトル、美しい羽を持ち、成鳥は神の鳥とも称される。
「なるほど、そういうことか。」
「旦那?」
「ケツァルコアトルはこの辺では信仰の対象でもある。それがゆえに、幼体を連れ去ることは禁忌なのだ。」
「わかったんなら、とっとと巣に戻してきな。」
女性はさらに声を荒げた。
「それはできない。」
「できないだって?」
「そいつの巣は、巨牛の群れに破壊されたようだ。」
沈黙が訪れた。お互いが、どうしたら良いかを図りかねていた。
「ここで育ててもらうことはできないか?」
ジーマは村人全員に尋ねた。
「自然がそう決めたのなら、そいつは死ぬ運命だったのだろう。」
老人がポツリとつぶやいた。村人たちはその言葉に頷き、二人を見つめ続けた。
ジーマの全身を怒りが貫いた。
「村の掟の方が、命よりも大事だというのか!」
村人たちにも、怒りが伝播したようだ。怒りをぶつけても、怒りを生むだけだった。
沈黙が、さらに緊張感を増した。
「じゃあ、しょうがねぇな。食料だけ分けてくれよ。」
ナラシダは笑顔で言った。
緊迫した空気が、あっという間に弛緩した。
「ナラシダ?」
「良いじゃん。こいつはオレが飼うよ。」
村人たちは、ホッとしたように互いに何かを話し出した。
取り囲む村人たちの中から、子供が数人、ナラシダの前に出てきた。
「鳥さん、触らせて。」
「おう。いいぞ。」
「わぁ、やわらかい。」
二人と村人の間に、先ほどまでの緊迫した空気は、どこにもなかった。
子供たちの笑顔と、遠巻きに見る大人のやさしい視線。すべてはナラシダが生み出したものであった。

食料を貰い、いくばくかの謝礼を支払い、二人は村から離れた。
「すまなかった。」
ジーマはナラシダに頭を下げた。
「旦那も意外と短気なんだな。」
ナラシダは笑った。この笑顔には、人の気持ちを和らげる何かがあった。
「そういや名前も決めたぜ。」
「ほう。」
「ツァルってのはどうかな?いい名前だろ?」
「ツァルか。」
ジーマは、ツァルのやわらかな羽毛をなでた。
「少し言いづらいな。」
ナラシダの笑い声につられ、ジーマも笑い出した。
森はまだ先へと、深く続いている。
ラベル:千文字
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2014年01月11日

『焚き火』大体千文字小説

どうも、ときめきの探求者どらっくすです。
今日は大体千文字小説。タイトルは「焚き火」です。
今日こそは、ジーマとナラシダの話に一段落つけようと決心して臨みました。
ちなみに前回はこちら

『ムベンベ』大体千文字小説
http://champru.seesaa.net/article/384511965.html

結果、2000文字を若干超えましたが、なんとか第一章完。ぐらいにはたどり着けたかな。
もはや千文字小説とは名ばかりになってきましたね。
なんか、そういう感じでも良いかなという気もしてきました。
最初は千文字目安だったらしいよ、という。それだけの名前ですね。
まだまだ先はありそうですが、とりあえずはここまでで一つ終わりということで。

あとは、明日辺りにまとめてみて。
書き足したりとか、直したりとか、そういうこともして、どうするかを決めよう。
とりあえず、お疲れ様自分。
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『焚き火』

地底湖の洞窟から抜け出ると、森の中だった。
日も暮れかけていたので、二人は洞窟の前で野営をすることした。
「さて、これからのことを話し合わなければな。」
ジーマは、ナラシダに話しかけた。
「だから、付いていくって言ってるじゃん。」
「だめだ。これから先は、かなり危険な旅になる。」
ムベンベの背中に乗っている間の話し合いも、結局この繰り返しで時が過ぎてしまった。
「どうせ、オレには帰るところなんてないんだ。死んだって、どうってことない。」
「生きるということは、それだけで価値のあるものなのだ。」
「んじゃ、旦那がオレを守ってくれれば良いだろ。」
「それができないから帰れと言ってるんだ。」
「だから、帰る場所はないんだって。」
「それなら、自分の好きな場所にいけば良い。元々が風来坊なのだろう。」
「んじゃ、旦那に付いてくよ。」
いつの間にか会話がナラシダのペースになってしまい、ジーマはため息をついて天を仰いだ。
「それにさ。旦那とは、良いパーティになれそうな気がするんだ。」
「パーティ?」
「ああ、今まで仲間がいたことなんて、ほとんどなかったけど、旦那とはうまくやっていけそうな気がする。」
ナラシダの目は、遠い過去を見つめていた。
なにか声をかけるべきか。ジーマが思案しているうちに、ナラシダが何かに気がついた。
「揺れてる。」
そう言うと、ナラシダは近くの木にするすると登っていった。
遠くの方から、木をなぎ倒しながら、一頭の巨牛が進んでくるのが、ナラシダの目に入った。
でかい。あまりの巨大さに、ナラシダは他の巨牛が群れとなって向かってくるのではないかと慌てて探した。
巨牛は通常、大きな個体がボスとなり、群れを支配している。いつ群れが続いてやってくるかわからないという恐怖に、ナラシダは怯えた。
「旦那、巨牛だ!しかもとんでもなくでっけぇやつ。」
ジーマは、傍らに置いた剣を、しっかりと手に取った。
そして、木を降りて戻ってきたナラシダに「先に行け」とだけ言った。
「旦那、そりゃないぜ。」
「群れが来れば、どの道終わりだ。せめて、今来ているやつだけでも、私が倒そう。」
「一人じゃ無理だって。」
次第に大きくなる揺れ方で、どれだけの大物が来るのか、ジーマにも大体の予測はついていた。
「そうかもな。」
ジーマは薄く笑みを浮かべた。
ナラシダは、その笑みを見て、何も言えなくなってしまった。
揺れの激しさが増し、ついに巨牛が二人の前に現れた。
巨牛は足を止め、二人を見下ろした。
「さあ行け。」
ジーマは剣を構えた。
ジーマの姿をしっかりと見つめてから、ナラシダは無言で立ち去った。
ふう、と一息入れてから、ジーマは巨牛に目を据えた。
大きい、あまりにも大きい。眼前の巨牛の巨大さに、ジーマもさすがにたじろいだ。
「こっちだ!」
叫び声と共に、ナラシダが巨牛の頭に向かいナイフを投げつけた。
巨牛は、勢いよくナラシダに向かい突進しだした。
「バカ!なにしてる!」
「旦那、いまだ!」
ナラシダの声に反応し、ジーマは巨牛の後ろ足に切りかかった。
ジーマの手に、ぶ厚い肉の手ごたえはあったが、ダメージを与えられたようには思えなかった。すかさず、ジーマは巨牛から距離をとった。
巨牛は、向きを変えて、今度はジーマに向かって突進してきた。
その隙に、ナラシダはナイフを拾った。
「ナラシダ!」
「あいよ!」
ナラシダのナイフが、巨牛の後ろ足の腱に向かい飛んでいった。
正確な場所に当たったと思った瞬間、ナイフは弾かれてしまった。
「旦那、こいつは思ったより手強いぞ。」
「お前のナイフで陽動してくれ、剣でなければこいつは倒せそうにない。」
「了解!」
ジーマは、巨牛の突進をかわしながら、自分のペンダントを巨牛の角に向かって投げつけた。
暗くなったときに、目印がなければ死ぬことになる。ジーマは長期戦を覚悟した。
夕暮れは夜になり、巨牛の角にぶら下がったペンダントだけが、薄く光を放っていた。

そこから数時間、二人はじっくりと巨牛にダメージを与え続けた。
暗闇の中で、一歩間違えば死が訪れるにも関わらず、二人は戦いを楽しんでいた。
巨牛との戦いをではなく、二人で戦うということ自体の快楽を貪っていた。
ようやく巨牛が動きを止めたときには、すでに深夜に近くなっていた。
「きつかったぁ、さすがに疲れたわ。」
「火を起こそう。」
「頼むわ。」
ジーマが焚き木を拾い戻ってくると、ナラシダは横になっていた。
「寝てるのか?」
「なんとか、起きてるよ。」
ジーマは火をつけると、巨牛にかけたペンダントを取りに行った。
改めて見ても、かなりの大きさだ。ペンダントを首にかけると、ジーマは剣を振り、適当な部分の肉を切り取った。
「肉だ。焼けたら教える。」
「どうも。」
ナラシダはすでに半分寝ているようだった。
「さすがに疲れたな。」
「ああ。」
「さっきの話だが、組むのも良いかもしれんな。」
「ほんとか!」
ナラシダは跳ね起きた。
「ああ。」
ジーマは、棒にさした肉を火にかけた。
「そっか、よろしくな。旦那!」
「旦那はやめろ、私はジーマだ。」
ナラシダは、照れくさそうに頬を掻いた。
「よろしく、ジーマ。」
「頼むぞ、ナラシダ。」
肉の焼ける音とともに、香ばしい香りが漂ってきた。
焚き火を囲み、二人は仲間との食事を始めた。
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一応、最初に漠然と考えていた、追うもの追われるものが仲間になるという話にはできたかな。
いやぁ、大変ですね。
文章量としては、全体で考えても多くないんですけど、モチベーションを保つのとか、うまくアイディアが出てこない苦しみとか。
最初の方は、千文字に抑えなきゃという苦しみもあったんですよね。
まあ、最終的には、諦めましたけど(笑)
書いてる途中で気がついたんですけど、盗賊と騎士という組み合わせはフォーチュンクエストですね。
昔大好きだったんで、自然と出てきてしまったみたいです。
気がついたからには、より意識してどうにか似ないようにしないとな。
まぁ、自分の中でのイメージはルパンだったんですけど、なんか色々ごちゃまぜになることで、自分の中のキャラとして生きてくるのかなともおもいます。
驚いたのは、まだフォーチュンクエストシリーズが続いているってことですね。どこまで読んだかわからないし、買いなおしてみようかな。
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ラベル:千文字 小説 日記
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2014年01月09日

『別荘』大体千文字小説

どうも、ときめきの探求者どらっくすです。
今日も大体千文字小説です。タイトルは「別荘」です。
昨日の三人組をまた出してみました。
なにしろ、今日のテーマは「森」「風呂掃除」「いかついおじさん」だったんですよ。
もう、昨日出したおっさんに再登場願うしかない(笑)
「おっさん」大体千文字小説
http://champru.seesaa.net/article/384690633.html
なんとなく三人組も、自分の中でつかめてきたかなという感じがしてます。
まとめることがあれば、昨日の話は少し書き直すかもしれません。
三つのテーマというところにとらわれすぎて、まとめきれなかった気持ちが一日消えなかったんですよ。
今日は、なんとかいけたかなという気がしています。
きっちりと考えるよりも、シンプルなラインを一度作って、そこから肉付けしていく感じの方が自分はやりやすいようです。
あっ、文字数は1630字です。そろそろ2000字が見えてきたな。
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『別荘』

「んじゃ、オレが買出し行ってくるから、風呂掃除頼むわ。」
刈谷は慣れた様子で出て行った。
残された牛山と飯田は、さっそく掃除に取り掛かることにした。
「それにしても、すごい別荘だな。」
「ああ、さすが金持ちだけあるな。」
三人は夏休みを利用して、刈谷家の所有する別荘にやって来ていた。行きと帰りは、刈谷の親に送ってもらうことになっていたが、別荘にいる間は三人で過ごすことになっていた。
「問題は、金持ちすぎたってとこだな。」
森の中にある刈谷の別荘は、有名別荘地の中でも特に良い場所にあった。
牛山にとっての誤算は、あまりにも良い場所すぎて、人がほとんどいないことだった。
時折近くを通るのも、老夫婦ぐらいで、女の子などは全然いなかった。
「明日は、テニス場でも行ってみようぜ。」
飯田はすでに湯船を磨いていた。
「お前、テニスできんの?」
「いや、全然。」
「ショッピングモールでも行った方がマシかもな。」
「おっ、それもあり。歩きだとどれくらいかかるんだろ。」
「刈谷にあとで聞きなよ。」
ブラシを手に取り、牛山もタイルを磨きだした。
別荘の風呂といえども、三人なら同時に入れそうな広さだ。
「夜は、みんなで入るか?」
「一人ずつ入れば良いだろ。」
「だって、せっかく広いじゃん。それに、窓開けたら相当気持ち良いぞ。」
ガラッと窓を開けた牛山は、凍りついたように動きを止めた。
飯田は湯船を磨く手を止めた。
「どうした?」
「あれ。」
飯田が、牛山の指差す方を見ると、いかついおっさんが歩いていた。髪の色には見覚えがあった。
「あれ、こないだのおっさんか?」
「あんなのが、二人もいるわけないだろ。」
カラオケで起こった、正確に言えば、何も起きなかった出来事を、牛山は思い出した。
「追おう。」
「はっ?」
「なんか起こる気がするんだって、こないだ逃した何かがさ。」
牛山は風呂場から飛び出していった。飯田が、風呂場の窓から外を見ると、すでにおっさんはいなくなっていた。
「どっちいった?」
「わかんねぇ。」
牛山は辺りを見回した。遠くの方に、おっさんの姿が見えた。
「飯田、留守番頼む。」
「あいよ。」
走り出してから牛山は驚愕した。ほぼ全速力で走ってるにも関わらず、おっさんとの距離が全く縮まらなかったのだ。しばらくすると、おっさんは角を曲がった。牛山からの距離はだいぶあった。
必死で走り、ようやく曲がり角に牛山が着いたときには、おっさんはいなくなっていた。
呼吸を整えている牛山の前に、買い物袋を提げた刈谷が現れた。
「何してんの?」
「いや、おっさん、いた。」
「は?」
「おっさんいたんだよ。こないだの。」
「もしかして、やたらいかついおっさんか?」
「見たのか?」
「ああ、駅の方ですれ違った。」
「行こう。」
刈谷は早足で進みだした。牛山も後に続く。
「走ろうぜ。」
「結構重いんだよ。これ。」
「オレが持つ。」
受け取った買い物袋が、牛山の指に食い込んだ。
「買いすぎだろ。何入ってるんだよ。」
「めんどくせぇから、三日分買ってきた。」
「明日も行くんだよ。ショッピングモール。」
「ショッピングモールとスーパーは全然別のとこだよ。」
「そうなの?」
「駅だ。」
数十メートル先に駅があった。だが、運の悪いことに電車も止まっている。
懸命に急いだ二人が、駅に辿り着く寸前に、電車が発車した。
「だー、間に合わなかった。」
刈谷は、駅員にいかついおっさんが乗っていたか確かめた。どうやら乗っていたようだ。
「何か、悔しいな。追いついたからって、何かできたわけじゃないけど。」
「そうだな。」
買い物袋を提げて二人は別荘に戻っていった。
「飯田は?」
「留守番。」
「気の利くやつだな。」
二人が別荘に着き、ドアを開けると、飯田が玄関を掃除していた。
廊下も、刈谷が出て行く前よりも、明らかに綺麗になっていた。
「埃っぽかったから、掃除しといた。」
飯田は、玄関を箒で掃きながら言った。
「ほんとに気が利くやつだな。」
刈谷と牛山は買い物袋を置いた。
二人の指には、買い物袋の重みで、赤く跡がついていた。
ラベル:千文字 日記 小説
posted by どらっくす at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 創作文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月08日

「おっさん」大体千文字小説

どうも、ときめきの探求者どらっくすです。
今日も大体千文字小説です。タイトルは「おっさん」。
今日も三つのテーマを出したところ、「カラオケ」「ダンボール」「人気者」となりました。
なんか、テーマを与えられると難しいですね。
そこがまたおもしろいところでもありますが、ちょっと一時間では書けなくなってきました。
まぁ良いか、明日まではやってみよう。
まさに三日坊主。

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『カラオケ』

「では、203になります。」
三人は、案内された部屋に向かった。
「お前何歌う?」
「いやぁ、決めてないわ。」
「牛山は?」
「どうすっかな。おっ、ここだ。」
203と書いてあるプレートの部屋に入ると、机の上にダンボールの箱が置かれていた。
「えっ?」
牛山はドアを開けてから、しばらく立ち止まった。
「どうした?」
「いや、ダンボールがあるんだよね。」
「とにかく入れよ。」
牛山の背中を押しながら、飯田は部屋に入った。
「なんだろうな?これ。」
刈谷も、ドアを閉じながら、興味深そうに箱を見つめた。
「まぁ、いっか。店員に聞いてみるわ。」
「ちょっと待てよ。」
牛山は刈谷を止めた。
「中を覗いちゃおうぜ。」
「それはダメだろ。」
今度は牛山を飯田が止めた。
牛山と飯田は、開ける開けないで揉めだした。
この二人、相性は悪くないのだが、些細なことでよく揉める。
最初は仲裁していた刈谷だったが、最近は終わるまで待つ方が結局早く終わることに気がつきだしていた。
「んじゃ、オレはトイレ行ってくるから。戻ってくるまでにどうするか決めておいてよ。」
刈谷は、そう言い残して部屋から出て行った。
残された飯田と牛山は、言い争いをやめ、黙ってダンボールを見つめた。
「意外と重いな。」
牛山は、隙間から中が見えないか、箱を持ち上げて四方から確かめていた。
「落とさないようにしろよ。」
「大体何でこんなもんがあるんだ?」
「たしかにおかしいな。」
「店員が置いていったのかな。」
監視カメラに見つめられている気がして、牛山は部屋の中を見回した。
「掃除に来た店員が気がつかないのはおかしいな。」
「だろ?」
「店員が掃除したあとに、誰かが置いていったとか。」
「なんのために?」
「なんのためって、そりゃちょっと置いておこうと思って、とか。」
部屋のドアが突然開いた。
当然刈谷が入ってきたものと思った二人は、入ってきた人物の風貌を見て固まってしまった。
サングラスをし、スーツの上からでもわかるほど筋骨隆々、そして髪は紫に染まっていた。
「ごめんなさい。それ、私のです。」
見た目に反して、意外と高い声で男は言った。
「あっ、すいません。置いてあったんで。」
牛山は、持っていた箱を、男に渡した。
「ありがとう。」
男は、箱をしげしげと眺めてから「開けてなくて良かった。」と言い残して去っていった。
「ほら、やっぱり開けなくて良かったじゃん。」
ホッとした表情で、飯田はつぶやいた。
「あんなあからさまに怪しい人が取りに来るとは思わないじゃん。」
牛山もさすがに苦笑いしていた。
しばらくすると、またドアが開いた。一瞬身構えた二人だったが、入ってきたのは刈谷だった。
「なんだよ、刈谷か。」
「なんだよって、なんだよ。あれ、箱は?」
「変なおっさんが持っていった。」
「へえ。」
なんとなく盛り上がらないカラオケをこなし、三人が受付で支払いを済ませようとすると「すでにお支払いいただいています。」と店員に言われた。
話を聞くと、どうやらあのおっさんが払ったようだった。
三人は、なんだかよくわからない気持ち悪さを感じたが、おっさんの話をしながら帰った。
ラベル:日記 千文字
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2014年01月07日

『二人目』大体千文字小説

どうも、ときめくの探求者どらっくすです。
今日も大体千文字小説です。タイトルは『二人目』です。
実験的に、三つのテーマを元に書いてみようと、ネットで探してみたら、そういうサイトがちゃんとあるんですね。
今日出てきたテーマは「河川敷」「影絵」「カレンダー」。
やってみると、非常にやりづらくて困りました。
いつものやり方に当てはめようとしたんですが、なかなか当てはまらなくて、かなり時間がかかりました。
こういうやり方は、やり方で、練習してみるとおもしろいかもしれませんね。
---------------------------
『二人目』

カレンダーをめくるタイミングがいつもわからない。
12月が終わり、新年を迎えても、カレンダーはまだ12月のままになっていた。
小腹が空いたな。
コンビニに行こうと、いつものとおりアパートの階段を降りた。
空気はかなり冷たくなり、出かけるのも億劫だったが、空腹ばかりはどうしようもない。
夜の空気は、冷たい分だけ澄んだようで、星の距離が近く見えた。
アパートからコンビニまでは、少し歩いて、橋を渡るだけ。
なんとなく空を見上げながら橋を渡ろうとすると、橋の下からエンジン音が聞こえてきた。
こいつは、もしかして。
スケベ心から、少し戻って橋の下を覗いてみた。
車はガタガタと揺れていた。
少しドキドキしながら、草に隠れて車に近づいてみると、どうやら真っ最中のようだった。
もうちょっと、もうちょっとと、車に近づこうとすると、突然車のライトがこちらを照らした。
思わず、顔を背けて後ろを見ると、橋脚に僕の影が絵のように映しだされていた。
まずい。
僕は、慌ててその場を走り去った。
何にも見えなかったなぁと考えつつ、コンビニに入り、適当な菓子パンを手にとってレジに並んだ。
ポケットを手探ると、財布がなかった。
あれ?もしかして、さっきのところで落としたかな?
菓子パンを戻し、コンビニを出て、橋のところまで戻った。
さっきの車が、ライトをつけたまま、まだいた。
仕方がないので、コンビニに戻り、しばらく立ち読みをすることにした。
十分に時間をとってから、再び橋に戻ると、さすがに車はもういなかった。
コンビニの前を通らなかったところを見ると、この辺の人間かもしれない。
安心して、財布を探したが、見つからなかった。
諦めて、部屋に帰ったが、いつも財布の中に鍵は入れていた。
まいったな、見つからなかったらどうしよう。
階段を降りて、再び橋に探しに行こうとしたが、階段のすぐ横に財布は落ちていた。
こんなところで落としてたのか。
財布を拾い、コンビニにもう一度行こうかと思ったが、とりあえず一度部屋に入ることにした。
せっかくだからカレンダーを一月にしておこう。
ドアノブを回して、部屋に入り、電気をつけようとした瞬間に、誰かに殴られた。
色んな後悔や、疑問が頭の中に巡る中、せめてカレンダーだけはめくろうと、倒れながら手を伸ばした。
カレンダーは12月で終わりだった。
僕は、そのまま死んだ。
ラベル:千文字 日記
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2014年01月06日

『ムベンベ』大体千文字小説

どうも、ときめきの探求者どらっくすです。
今日も大体千文字小説です。タイトルは『ムベンベ』。
昨日の続きです。

『地底湖』大体千文字小説
http://champru.seesaa.net/article/384432071.html

ふと気がついたんですが、この調子でいくと、永遠に終わらないんじゃないかって気がします。
どっかで一まとめにしたいですね。というか、そうしないとkindle用にまとめるという野望が達成できない。
大体20万字くらいで文庫本一冊らしいので、そこを目安にしようかな。
このペースでいくと、半年後とかか?
それは、ちょっと長いなぁ。
2万字くらいで一回まとめるかな。

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『ムベンベ』

「一体何なんだ?」
地底湖に突如現れた巨大な影は、ゆらゆらと二人の方に近づいていた。
「近づいてくるぞ。旦那、どうしよう?」
ナラシダは、ジーマの方を見た。ジーマは微動だにしていなかった。
「旦那?」
「大丈夫だ。」
大きな影が近づいてくると、大木に見えたのは首だということがわかった。
「何だ、こいつは。今まで見たこともねぇ生き物だ。」
ナラシダは、長い首の先についた小さな頭が、自分を見ていないことに気がついた。
「こいつは、ムベンベという生き物だ。」
ジーマがつぶやいた。
「私の故郷の国では、わずかに生息していた。まさかこんなところで会えるとはな。」
ムベンベが近づいてくるにつれ、ナラシダの鼻に甘い香りが届いた。
「なんだかうまそうな匂いだな。」
「ここに辿り着いたときに、わずかにこの蜂蜜のような香りがした。まさかとは思ったが、ムベンベがいるとは幸運だったな。」
「幸運?こんなでかいのと戦わなくて良いってのは良かったけどさ。」
「ムベンベは、人懐っこい生き物だ。」
ムベンベの首が、ジーマに向かって伸びた。
「特に、このペンダントを持つものには友好的になる。」
ムベンベは、ジーマのペンダントをしばらく眺めたあと、大きな首を立て、巨体を湖の端に寄せた。
「乗れってことか?」
「おそらくな。」
二人が背中に乗ると、ムベンベはゆっくりと歩き出した。
「こいつ、泳いでるわけじゃなかったのか。」
「ムベンベはあまり泳げない。主食は小動物や魚なので、浅い湖の近くに住むことが多い。」
「へー、じゃあこの地底湖の中には、こんなのがわんさかいるのか。」
ナラシダは暗闇に目をこらした。
「いや、どうやらこいつは単体のようだな。ムベンベは単体で行動することはほとんどない。おそらくは誰かがここに連れて来たんだろう。」
ムベンベの歩みは遅く、巨体とはいえ、反対側にたどり着くまでに数時間はかかった。
「悪くねぇ乗り心地だったよ。おっ、出口か?」
岸に降り立つと、うっすらと奥から光が差していた。
「ありがとう。」
ジーマが礼を言うと、ムベンベはまた湖に入っていった。
「あれ?連れてはいかないのかい?」
「そういうわけにはいかん。ここにいるということは、主がいるのだろう。もっとも生きているかはわからんが。」
「町は潰れちまったしな。」
「それもあるが、ムベンベは数百年以上は生きる。あれだけねずみがいれば、食料に困ることはない。ひょっとしたら千年以上生きるかもしれん。」
「じゃあ、あいつは一人ぼっちで、何十年か、何百年も。ここにいたかもしれないってことか。」
「ああ。」
ナラシダは、ムベンベが去っていった方に深く頭を下げた。
「さて、んじゃ行きますか。」
頭を上げると、たのしそうに歩き出した。
ジーマは、少しだけ嬉しそうにナラシダを見つめると、湖の方に振り返り、もう一度手を合わせて礼を言った。
「旦那、早く来ないと置いてくぜ。」
「わかっている。」
ナラシダの背中を追って、ジーマは光に向かって歩き出した。
ラベル:千文字 日記
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2014年01月05日

『地底湖』大体千文字小説

どうも、ときめきの探求者どらっくすです。
今日も大体千文字小説です。タイトルは「地底湖」。
大人気(自分の中で)のジーマとナラシダの話の続きです。
前回はこちらです
『イナゴ』大体千文字小説
http://champru.seesaa.net/article/384194502.html

今回は短く?1287文字に押さえることができました。
大体千文字ですから、四分の一くらい増えても大丈夫です。
書いている本人が言ってるんだから、大丈夫なんです。
それにしても毎回ギリギリになっちゃうなぁ。
これが締め切り効果というやつでしょうか、違うか。

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『地底湖』

「見ろ、湖だ!」
ジーマは地底湖の前にいた。
巨牛の行進による地鳴りもおさまり、ナラシダとこれからどうするかの相談をしていたところだった。
「ようやく一息つけるな。」
ナラシダは息を吐いた。水が溜まるということは、それだけ大きな空間が待っているということであった。
いざ、そのほとりに立ってみると、地底湖の大きさはナラシダの想像を遥かに超えていた。
「おいおい、いくらなんでも広すぎねぇか?」
「うむ。」
眼前に広がる地底湖の大きさは、ペンダントのほのかな光では、おおよその大きさしか測ることができなかった。
「泳いでいくには、ちいとしんどそうだな。」
ナラシダは、ちょうど具合の良い岩を見つけて腰掛けた。
「まぁ、とりあえず一休みといこうぜ。」
ジーマはただ、地底湖を見つめるだけだった。
「旦那?」
「あ、ああ。そうだな、少し休むとしよう。」
「休むと言っても、どうしたもんかね。火を起こそうにも、火種がなきゃなぁ。」
「火打石ならあるが、燃やすものがないな。」
「おっ、そうなのか。じゃあちょっくら燃えそうなものでも探してみるか。」
「離れすぎないように注意しろよ。」
「子供じゃねぇんだ、わかってるよ。」
ナラシダはゆっくりと歩き出した。
暗がりに目が慣れてきたとはいえ、湖が近くにある。うかつに動いて足を滑らせれば、命に関わる危険もあった。
「ふへぇ、こりゃダメだな。」
ナラシダは、手ぶらでジーマの元に帰ってきた。
「石ばっかりで、他には何もないわ。」
「そうでもないようだ。」
ジーマは、剣に手をかけ、素早く振って何かを切った。
ナラシダの足元に、ポトリと落ちたのはねずみの死骸だった。
「おっ、こいつに火をつければ燃えるかもな。」
ねずみを拾おうとしたナラシダは、思わず手を引っ込めた。
すでに、別のねずみが死骸に噛り付いていたのだ。
さらに、そのねずみに襲い掛かる別のねずみ、また別のねずみ、と気がつけば、二人の周囲はねずみだらけになっていた。
「旦那、こいつはまずい。」
「うかつに動くな、踏みつけたりしたら大変なことになるぞ。」
「うかつに切ったのは、旦那じゃねぇか。」
「うるさい。」
身動きが取れない中でも、増え続けていくねずみの数に、二人の余裕は次第になくなってきた。
「おいおい、こいつら、今までどこにいたってんだよ。」
「水に飛び込むぞ。」
「こんなに暗いのに服着て水に飛び込んだら溺れちまうよ!」
「じゃあどうする?」
「いなくなるのを祈るしかねぇって!」
ジーマは、祈るようにペンダントを軽く握った。
その時、あまりにも大きいうなり声が湖から響いた。
ねずみたちは、一斉に逃げ出し、一瞬のうちに見えなくなった。
「あんだけいたのに、どこに隠れたのかわからねぇな。それより、今の音はなんだい?旦那がうなったわけじゃないよな?」
「そんなわけあるか。」
ジーマは、湖をじっと見つめた。変わったところがあるようには見えなかった。
「旦那。」
ナラシダの声は震えていた。
「あんな影、さっきまでなかったんじゃないかね?」
ジーマは、あまりの巨大さに見逃していた。
ペンダントから出る光を、真っ二つに裂く影。
それは、まるで湖の中心に、突如大木が生えたようだった。
ラベル:千文字 日記
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2014年01月03日

『マッカチン』大体千文字小説

どうも。ときめきの探究者どらっくすです。
今日も大体千文字小説です。タイトルは「マッカチン」。
柴ちゃんとブルの話は、一応主人公の名前は共通してますけど、自分の中でそれほどキャラとして固めているわけではないんですよね。
なんとなくはあるんで、それで良いかなと。他人のことなんて、なんとなくしかわかりませんし。
明日は、新日本プロレスドーム大会を見に行く予定なので、その感想になるかな。
今日は普通に日記を書くつもりだったんですが、意外と書けたので良かったです。

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『マッカチン』

「こんな暗いところに入るの?」
昼間にも関わらず、暗闇の広がる土管に、柴ちゃんは心底嫌そうな顔をした。
「こん中で、軽部がでっかいマッカチンを捕まえたらしいんだよ。あいつよりでっかいのを捕まえなきゃ。」
「またべーちゃんかぁ、今度はちゃんと見たの?」
ブルはにやりとした。
「見たよ。ほんとにでかかった。こんぐらいはあったな。」
ブルの広げた幅は30pはあった。
「それ、ザリガニじゃないんじゃないの?」
「わかんねぇけど、とにかくでかかったんだよ。いくぞ!」
ブルは、柴ちゃんが答える前に、土管の中に入っていった。先は、どぶ川に繋がっているらしく、ボロ雑巾みたいな臭いがたちこめていた。
「臭いね。」
「言うなよ。」
ブルの持つ懐中電灯と、先の方からわずかに差し込んでくる光。目が慣れてくれば、真っ暗闇というわけではなかったが、柴ちゃんの心はなんとなく晴れなかった。
「ねぇ、お化けとかでないよね?」
「出ないよ。そんな話、聞いたこともない。」
「ふーん。」
「大体、こう暗くっちゃ、出てきても見えないだろ。」
「それがお化けってさ、ぼんやりと光ってるんだって。」
「なんだそりゃ、蛍みたいだな。」
足元を流れるわずかな水を避けながら、二人は会話し続けた。
「ねぇ、ザリガニがいるにしちゃ、この水少なすぎないかな。」
「たしかになぁ。もうちょっと川の方まで行ってみるか。」
ブルは、先を照らすとさっさと進みだした。柴ちゃんは慌てて後を追ったため、靴が少し濡れてしまった。
「あれ?もう出口か。」
進んでみれば、あっという間にどぶ川まで辿り着いてしまった。ザリガニは一匹もいなかった。
「ブル、これじゃあザリガニなんていないんじゃない?」
土管は、どぶ川に面してはいるものの、直接繋がっているわけではなく、緊急時の水避けのようなものだった。
「どっちかっていうと、細長い水たまりだな。」
ブルもうなずいた。
「あれ?ブルと柴ちゃんじゃん。」
どぶ川につけられた金網の外から声がした。
「べーちゃん、どうしたの?」
「どうしたのって、うちはすぐそこだもん。」
「軽部、ここにマッカチンなんていなかったぞ。」
「ああ、今はいないよ。」
軽部はこともなげに言った。
「こないだ雨降っただろ?そうすると増水して、土管に水が流れこむんだ。雨があがったあとに入ると、取り残されたザリガニがいるってわけ。」
ブルと柴ちゃんは顔を見合わせた。
「それで、べーちゃんの取ったザリガニはどれくらいの大きさなの?」
「これぐらい。」
軽部の示した幅は15cmくらいだった。
「ブル。」
柴ちゃんはブルをじとっとした目で見つめた。
「いや、もうちょっと大きかったって、なぁ軽部!」
「そうかなぁ、良かったら今から見に来る?」
「いく!」
二人は、金網を乗り越えて、軽部と共に家に向かった。
柴ちゃんの靴は泥だらけで、一人だけ道路に足跡を残していた。
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2014年01月01日

『巨牛』大体千文字小説

どうも、ときめきの探究者どらっくすです。
なんだかんだと言いつつ、結局昨日の続きを書くという。
大体千文字小説。タイトルは「巨牛」です。
つづくのがありなら、千文字でもなんでもないじゃないかという気持ちもありますが、なにしろ結果的に続きっぽくなってるだけですから。
続きを書くかどうかも決めてないですしね。
一応昨日のはこちらです
「追跡者」
http://champru.seesaa.net/article/384054745.html
それにしても、自分でもびっくりするくらい予定通りに進まないなぁ。
千文字を取っ払うのもなんなので、このままのペースを守りつつですね。
今回も1220文字と若干オーバーですし。
まぁ、たくさん書きためたら、良き所でまとめてkindleで100円とかで出しますかね。
人生で、一回くらいは本出してみたいじゃないですか。
-------------------------
『巨牛』

夜明けと共に、ようやく辿り着いた町は、すでに滅びていた。
空を赤く染めるほど燃えさかっていた炎も、今はくすぶりつつあった。
「生き残ってる人を探すぞ!」
ナラシダは、騎士に呼びかけた。
「おい!」
「こんな、こんなことが…」
「あんた騎士なんだろ!ぼんやりしてんじゃねぇ!」
「あ、…ああ。」
ようやく動き出した騎士を横目に、ナラシダは瓦礫を引っ繰り返しだした。
だが、見つかるのは、すでに息絶えた者ばかりだった。
「一体、なんでこんなことになったってんだ。」
瓦礫をどけるのを諦め、栄えた商店街だった道を歩き出した。
「誰か!誰かいないのか!」
ナラシダの頭に、昨日まで話していた人々の顔が、浮かんでは消えた。宿屋の親父、酒場でいつも飲んでるじいさん、食堂の看板娘。
風来坊ではあっても、人との思い出は記憶に残っていた。
町から町へと、気ままに歩みゆく人間にとって、町の印象は、そのまま住んでいる人間との記憶であった。
関係ない。
その一言で切り捨てられるほど、ナラシダは世を捨ててはいなかった。
瓦礫との中を歩いているうちに、町が滅んだ理由が見えてきた。
人間ではありえない。
その予感が、ナラシダを騎士の元へと走らせた。
「旦那!この町は!」
「ああ、わかっている。襲われたんだ…魔物に。」
魔物に滅ぼされた町。
今までにもなかったわけではない、しかしこれほどの規模の町が壊滅に追い込まれることは珍しかった。
「いったい、どれほどの数の魔物が襲ってきたってんだ。」
「100ではきかないだろうな。しかも。」
騎士は、辺りを見回した。
「どうやら、まだいなくなったわけではない。」
瓦礫の山の陰から、巨牛が現れた。7メートルはあろうかという巨体と、野生特有の鋭い目つき。
「巨牛は、群れをなして行動する。大群が町に突っ込めば、こんな風になることもあるだろう。」
「ずいぶんと冷静なんだな。」
「事実を言うことと、怒りの度合いはまったく関係ない!」
騎士はすばやく剣を抜くと、巨牛に切りかかった。ナラシダも後に続く。
群れの圧力こそが、巨牛の恐ろしさである。
角にさえ気をつければ、一頭の巨牛はたいしたことのない魔物なのだ。
二人がかりであれば、まず負けることはない。
セオリー通り、一方が引きつけ、一方が切りつける。
この繰り返しにより、巨牛を倒すことに成功した。
昨夜からの疲れもあり、巨牛を倒した後、二人はその場に座り込んだ。
「少しは町の人の心を晴らせただろうか?」
「ああ、そうであってくれると嬉しいね。もっとも、生きてる方が良かったろうが。」
「そうだな…。お前、名前は?」
「ナラシダだ。旦那は?」
「旦那はやめてくれ。名はジーマ、騎士をやっている。」
「見りゃわかるよ。」
ナラシダとジーマの間に、束の間弛緩した空気が流れた時だった。
遠くから響いてくる振動、確かめる必要もなかった。
「旦那!」
ナラシダは、初めてジーマと目を合わせた。
「まずいな…」
振動は、やがて地響きへと変わった。
巨牛の大群が、二人を押し潰さんと押し寄せてきていた。
ラベル:千文字 日記
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2013年12月31日

「追跡者」大体千文字小説

どうも、ときめきの探究者どらっくすです。
今回も大体千文字小説です。タイトルは「追跡者」です。
やるかどうかはともかくとして、ちょっとシリーズもののはじまりっぽいものにしてみました。
正直にいえば、書こうと思った部分の、半分いかないくらいで千文字に到達してしまったんですよね。
残りの半分は、永遠に書かないかもしれないし、長いシリーズになるかもしれない。
とにかく何でも良いから、なるべく書き続けられるようにしていきたいです。
日記じゃないとかいう、細かいことはどうでも良いんだ。
毎日何か書いてたら、それが日記に違いない。

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『追跡者』

暗闇を行く、二つの影。
一方は逃げ、一方は追われていた。
「待て!」
「待てと言われて、待つやつがいるかよ!」
ナラシダは、後悔していた。
ほんのおふざけのつもりで、騎士のペンダントをくすねたところ、本気になって追いかけられてしまったのだ。
すぐに返せばよかったものの、騎士の勢いに驚き、逃げてしまったのだった。
「こんなペンダントが、そんなに大事なのかよ!」
「答える必要はない!」
騎士を振り切るくらい造作もないと、逃げ続けていたのだが、本気になって逃げてもいつまでも追ってくる。
追われれば逃げたくなる。
繰り返しているうちに、もう辺りは真っ暗になっていた。
暗くなれば逃げ切れるはずと思っていたナラシダの誤算は、盗んだペンダントだった。
畜光性の素材を使っているらしく、薄明るく光っているのだ。
あえて、真っ暗になる道を通ったせいもあり、格好の目印となってしまった。
隠してしまえば良いのだが、それは騎士に対して負けを認めたようなものだ。
正々堂々と逃げ切る。
ナラシダは走り続けながらそう決めていた。
驚くべきは騎士の体力だった、重そうな鎧を着ているにも関わらず、まったく足を止めずに追ってくる。
十分に距離を取ったと束の間逃げ足を緩めれば、すぐに鎧の音が近づいてきた。
ナラシダは、勝負を朝までと決めた。
朝までに逃げ切ることができるか、あるいは騎士がずっとついてくるか。
どちらかによって、ペンダントを返すか決めることにしたのだ。最初から、本気で盗もうとしたわけでなし、ゲームを楽しむことにしたのだ。
あいかわらず騎士は、ナラシダめがけて走り続けていた。
追いつかれることはないにしても、逃げ切ることも無理かもしれない。ナラシダにとっては、ちょうど良いゲームだった。
何度めかに振り返った時、ナラシダは異変に気がついた。
騎士の姿がやけにはっきり見えるのだ。まるで何かに照らされているようだった。
「騎士の旦那、ちょっと待ってくれ!」
「なんだ?」
「後ろの様子がおかしい。」
「後ろ?」
ナラシダが立ち止ったのを見て、一気に距離を詰めてきた騎士は、ナラシダの腕をつかんでから後ろを振り返った。
「妙に明るいな。」
「ああ。ちょっと待っててくれ。って、腕を放せよ。」
「そんなこと言って、逃げるつもりじゃないだろうな。」
「木に登って、上から見るだけだよ。」
騎士はナラシダの腕を放した。
妙な連帯感は、ナラシダだけに生まれていたわけではないようだった。
するすると木に登ったナラシダは、明るく輝いている方向に目を凝らした。
輝きは、光ではなかった。それは燃えさかる炎だった。
木から降りると、ナラシダは騎士に告げた。
「町が燃えている…」
「なんだと?!」
騎士は町へと走りだした。
ナラシダも、騎士の後を追って、走り出した。
暗闇は、もうどこにもなかった。
ラベル:小説 千文字 日記
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2013年12月29日

『セミの抜け殻』大体千文字小説

どうも、ときめきの探究者どらっくすです。
本日も、大体千文字小説です。タイトルは「セミの抜け殻」。
なんとなくブルと柴ちゃんコンビが自分でも気にいってしまったようです。
だからといって、次があるとは限りませんが。
ちなみに大体千文字と言いつつも、1500文字あります(笑)
大体とはいったい何なのか?わたしにはわかりませんが。
テストなら、文字数オーバーで間違いなく不合格です。
こんな大人にはなってはいけないよ。

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『セミの抜け殻』

「たしかになくなってるな。」
ブルはそう言いながらも興味がなさそうだった。
「だろ?絶対何かあるって!」
柴ちゃんは目を輝かせながら言った。
自分たちの宝物である、セミの抜け殻が、突如として消えた。
集会所の軒下の秘密の場所に隠してあったにも関わらずだ。
「犯人を捜しだそうよ!」
柴ちゃんの目は爛々と輝いていた。
「ええ…、別にまた集めれば良いじゃん。」
「そういうわけにはいかないよ、また集めても盗まれるかもしれないし。」
「盗まれたらまた集めれば良いだろ。」
元来ブルという少年は、細かいことは気にしない性格なのだ。内気な柴ちゃんにとって、そんなブルは腹立たしくもあり、また誇らしくもあった。
だが、いつもは、引き下がる柴ちゃんも、今日は食い下がる。
「秘密の場所がばれたかもしれないんだ、これは大問題だよ!」
「うーん、そうかもしんないけどさぁ。」
ブルは柴ちゃんを見ながらため息をついた。
「柴ちゃんが、探偵やりたいだけだからなぁ。」
柴ちゃんと言う少年は、意気込みはともかくとして、探偵としての才能はないらしく、簡単な事件をいともたやすく難事件にしてしまうのだった。
「じゃあブルは、秘密の場所が誰かに知られてても良いっていうの?」
「それもそうか、じゃあ犯人探しやるか。」
ブルは、どうせ見つからないだろうけど、という言葉を飲み込み、柴ちゃんのあとをのたのたと歩きだした。
柴ちゃんは、近くを歩いてたおばあさんに、さっそく聞きこみを開始した。
「すいません、あそこの集会所の…」
「なんでもないです。すいません。」
ブルは、慌てて柴ちゃんの口をふさぐと、にこにこしているおばあさんに頭を下げながら柴ちゃんを引きずっていった。
「自分から秘密の場所をばらしてどうすんだよ。」
「あっ…」
「オレ、セミの抜け殻集めるから。」
ブルを遠目に見ながら、柴ちゃんはあれこれと次の手を考えているようだった。
だが、良い手が思い浮かぶ前に、ブルは両手にどっさりとセミの抜け殻を抱えてきた。
「ほら、これをまた隠そうぜ。」
「うん。」
ブルと柴ちゃんは、二人でセミの抜け殻を分け合い、秘密の場所に向かった。
集会所に着くと、大人が一人立っていた。
「まずいな。」
「どうする?」
二人がまごついている間に、大人は二人に気がついた。
「もしかして、ここにセミの抜け殻を隠したのは君たちかい?」
二人は、とっさに手に持ったセミの抜け殻を隠そうとしたが、隠すところがなかった。
「いや、何も怒ろうってわけじゃない。セミの抜け殻をどかしてしまって悪かったね。」
「おじさんが見つけたの?」
柴ちゃんは物怖じせずに尋ねた。
「ああ、この集会所は建て替えることになってね、色んなところを掃除したんだよ。」
「建て替えるって、壊すの?」
「そう。だから、そいつも。」
大人は、二人の持つセミの抜け殻を指さしてから、ゆっくりと言った。
「持って帰ってくれな。」
「わかりました。」
柴ちゃんは、肩を落とした。
ブルは、柴ちゃんの背中をずっと見つめていた。
「ブル…」
柴ちゃんが振り返ると、ブルは我に返った。
「川原に行こう。」
二人はセミの抜け殻を持ったまま、川原に向かった。
川原に着くと、ブルは川に向かって、セミの抜け殻を思いっきり投げた。
柴ちゃんも、なんとなく続いて投げた。
「柴ちゃんさ、よく大人と平気で話せるよな。」
「そんなの、普通だよ。」
「そっか。そうかもな。」
それきりブルは、何も言わないで、流れていくセミの抜け殻を見つめていた。
「ブル、次はどこに隠そうか?」
柴ちゃんも、流れていくセミの抜け殻を眺めていた。
「そうだな、良いところがあるぜ。」
「どこ?」
「あいつら見送ってからな。」
セミの抜け殻は、どんどん流れていった。
柴ちゃんには、もう見えなくなっても、ブルはまだ見ていた。
水面で、魚が跳ねる音がし、太陽は、まだ高くに輝いていた。
ラベル:千文字 日記
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2013年12月27日

『まんなかのボロ屋敷』大体千文字小説

どうも、ときめきの探求者どらっくすです。
今日はまた大体千文字小説です。タイトルは『まんなかのボロ屋敷』。
書いてみて気がついたんですが、こういうジャンルの話を書くの好きかもしれない。
だからといって、湯水のように湧くわけではないですけど、今日は思うように書けた感じがして気持ち良いです。
こういうテンションで、色んなジャンルを書けると最高に気持ち良いな。
昨日の「モフモフさん」はかなりきつい状態で捻り出した感があったんですが、今日は気持ちよくできてよかった。

------------------------
『まんなかのボロ屋敷』

長い間、誰も住んでいない家というのは、子供たちの格好の遊び場となるものだ。
「柴ちゃん、早く入ろうぜ。」
「やだよ。怖いもん。」
「なんだよ、いくじなし。」
「ブルは意気地があるんじゃなくて、無謀なんだよ。」
「うるせぇ!」
町のはずれにあるのに、何故だかまんなかのボロ屋敷と呼ばれる一軒家。
子供たちの間では、お化けが出ると噂されていた。
柴ちゃんとブルという二人は、仲が良いのか、悪いのか。とにかくいつも一緒にいた。
少年らしく、いつから二人でいるようになったのかは、お互いよくわからなくなっていた。
ただ、なんとなくいつも一緒にいる。
問題は、彼らがまるで正反対の性格だということだ。
まるで気が合わない。おかげで、いつも喧嘩ばかりしている。
「軽部のやつが、まんなかのボロ屋敷に入ったって言ってたんだよ。オレが入らないわけにはいかないだろ。」
「ならブル一人でいけよ。僕は行きたくないんだ。」
「証人ってやつが必要だろ。」
「屋敷の前で待ってれば良いじゃん。」
「ちゃんと中まで付いてこないと、入り口で引き返してきてもわかんないだろ。」
ブルの変なこだわりに、柴ちゃんは噴き出した。
「僕がいったって、同じことだよ。」
「なんでだ?」
「いつも一緒にいるんだから、嘘付いてると思われる。」
「なるほど。」
ブルはしばらく難しい顔で考え込んでいたが、顔をあげると笑顔になった。
「まぁ、いいや!行こうぜ、柴ちゃん!」
柴ちゃんは、ため息をついた。こうなったブルは誰も止められない。
「わかったよ。行くよ、行きますよ。」
「そうこなくっちゃ!」
改めてまんなかのボロ屋敷を見あげてから、二人は顔を見合わせた。
「ほんとにボロいな。」
ブルがつぶやくと、柴ちゃんがうなずいた。
「どうする?」
柴ちゃんの声は震えていた。
「どうするって…行くしかないだろ。」
「嫌だなぁ。」
「なんだよ。」
「だって。」
「だってじゃねぇ!」
柴ちゃんは黙って立ち尽くしていた。
ブルは、柴ちゃんから視線を外すと、もう一度ボロ屋敷を見上げた。
ドーン!
いきなり大きな音がした。
二人が音の方向に顔を向けると、遠くで花火が上がっていた。
「今日、花火大会だっけ?」
「どうだったかなぁ?」
ガラガラガラ!
ボロ屋敷の窓が開き、中からおじさんが顔を出した。
「人、住んでたのか。」
ブルは驚いていた。
「そういや、軽部の証人って誰だったの?」
ニヤリとしながら柴ちゃんは聞いた。
「え?そりゃ…」
柴ちゃんの言葉で、ブルは気がついた。
「軽部の野郎、嘘つきやがったな!」
ドーン!と花火の音が響いた。
ブルはすでに駆け出していた。
「柴ちゃん、早く花火行こう!」
ブルを追おうとしてから、柴ちゃんはなんとなく振り返ってみた。
ボロ屋敷の窓は、もう締まっていた。
「柴ちゃん、早く!!」
「今行くよ!」
二人の頭には、もう花火のことしかなかった。
posted by どらっくす at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 創作文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月24日

『鏡』大体千文字小説

どうも、ときめきの求道者どらっくすです。
今日も千文字小説です。タイトルは「鏡」。
もうここまで来ると、小説なのか、日記なのかわからんね。
事実ではないから日記ではないですけども、なんか絶望的な気持ちになってるのは一緒です。
チキンまだどっかで売ってるかなぁ。

---------------------------
『鏡』

クリスマスだというのに、オレは一人だった。
人生は選択の連続だというが、一人を選択した記憶はない。
だからといって、誰かといることを選択した記憶もないので、隣に誰もいないという状況なのだろう。
「サンタ、来るだろうか?」
繰り返すが一人である。
サンタなんて来るはずがない。
わかっていても、もしかしたら、何かの間違いで、サンタのやつが来るかもしれない。
希望なのか、絶望なのかはわからないが、サンタという存在は残酷だ。
難しいことは何もない。
自分がサンタの格好をすれば、そこにサンタは現れる。
一応衣装は買ってきてあるのだ。
浮かれたパーティにでも参加する人用のものを、孤独な自分が購入する。
これは何用のサンタ衣装になるのか?
着るか、着ないか。散々悩んだ挙句、とりあえず着てみることにした。
なるほど、これはただの赤い服だ。赤い帽子だ。
サンタという存在は妄想だ。
少なくとも、サンタ服とは何の関係もない存在だ。
見ろ、この哀れなサンタもどきを。同じもどきならがんもどきの方が役に立つ。
いや、これがサンタだと認めないのは、世界でオレだけかもしれない。
なにしろ一人でいるわけだ。
この格好で外に出てみろ、間違いなくサンタとして扱われるだろう。
社会の中で、サンタという役割をこなす。
「大体の人は、金を貰ってやることなのに、オレは無料でやることができる。選ばれし存在なのだ。」
そこまで口に出してみたところで、考えるのをやめた。オレは何を口走っているのだ。
独り言を言うなんて、まるでさびしい人みたいじゃないか。
そうだ、チキンを食おう。
電子レンジに入れ、温める。電子レンジはブオーンといううなり声をあげている。
何かをするには短すぎ、何もしないのには長すぎる。
チキンが温まるまでの時間とは、そういうものなのだ。
チーン
「チキンー、チキン」
骨付きのやつだ。
やはり、クリスマスは骨付きじゃないと、チキンとは言えない。
七面鳥というのは、どんなものなんだろう?
食べたことがないのでわからない。だが、オレにはチキンがある。
「オレにはチキンがある!」
チキンから湯気がたちのぼる。甘辛い匂いだ。
オレは思いっきりかぶりついた。
チキンにはかぶりつく、モッチャモッチャとした柔らかく、しっかりとした歯ごたえが、チキンの感じだ。
ふと目の端に、赤いものが映った。
まさか!と、顔を向けてみると、鏡だ。
鏡の中では、サンタがチキンをくわえたままこっちを見ている。
オレは何だか、どうしようもなく死にたい気分になった。
ラベル:日記 千文字
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2013年12月23日

『くらうど』大体千文字小説

どうも、ときめきの求道者どらっくすです。
もはや自分でも何なのかわからなくなってきました。ある意味、日記かもしれない。
そんなわけで大体千文字小説です。タイトルは『くらうど』です。

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『くらうど』

店内の雑音を、音楽でシャットアウトし、ハンバーガーをかじりながら、本を読む。
座り心地の悪い椅子、狭い机、どちらも食べる時間をかけさせないための工夫なんだろうが、そこであえてゆっくりすることが、僕のスタイルだ。
どのみちこの店は、続いていることがおかしいくらいに、いつも空いている。
空いているからこそ、なんだかたまらなくうるさいのだ。
うるさいからこそ、本を読みたくなる。それが僕のせめてもの抵抗だ。
一人客は、窓際の席に座ることが多い中で、僕はいつも広いテーブルをついたてで二つに仕切っている席に座る。
ここに座ると、店が多少混んできたときにすぐわかるからだ。
ついたてがあるとはいえ、人が座ればほぼ目の前にいることになる。そのうるささと言ったら、音楽や読書では耐えられるものではない。
席は8つあるのだが、大抵は端から埋まっていく。それが人情なのだろう、
大体真ん中辺りに人が座り出すと僕は逃げ出す。
店内の人口密度は半分といったところだが、とにかくうるさいのが嫌いなのだ。さびしくない程度にうるさくして欲しい。
時間帯にもよるが、今はまだ人が増えるような時間ではない。あと一時間は、ゆっくりと読書ができるだろう。
集中して本を読んでいると時間を忘れる。空間が歪んでいるのかもしれない。その場にいるようで、その場にいない。意識は本の中に吸い込まれていく。
ふと、目の前に人がいることに気がつく。
おやおや、そんなに長い時間熱中してしまったか、それにしても珍しい。
目の前に人が座るほど、この店が混雑することがあったとは。
顔を上げて、店内を見渡すと、依然としてガラガラであった。
なぜ、このガラガラの店内で、人の目の前に座ることができるのか。その無神経さに腹が立つ。
無視して、読書を続けようとするが、無理だった。
目の前の男の食い方がうるさい。
咀嚼している間は、口を閉じるのがマナーではないのか、なぜそんなに口を開けたり閉めたりしながら咀嚼するのか。
批判的な目線を送ると、男もこちらをジッと見つめ返してきた。
おかしい、非難されるのは僕なのか?
男はなおもこちらを見続けている、僕は目線を本に戻した。
まだ見られているような気がする。
ちらと様子を窺ってみると、こちらを見てはいるようだが、僕を見てはいなかった。
僕の背後にある壁掛け時計を見ていた。
男は、あっという間に食べ終えると、急いで店を出て行った。
僕はなんともいえぬ気恥ずかしさに耐えられず、慌てて本を鞄にしまい、店を出た。
この店に相応しくないのは、僕の方かもしれない。
外は晴れていたのだ。
ラベル:日記 千文字 小説
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2013年12月22日

『人類殲滅爆弾』大体千文字小説

どうも、ときめきの求道者どらっくすです。
本日も大体千文字小説です。タイトルは『人類殲滅爆弾』。
今回で三つ目ですが、段々書くのが苦しくなってきました(笑)
どこまで行けるだろうか。

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『人類殲滅爆弾』

「わかりました。目薬を貸してください。」
まぶたの辺りが麻痺し、目を閉じることができなくなった。
「もう大丈夫のようです。」
覚悟を決めた。
妻に別れを言えなかったのは残念だが、人類のために死ぬのだから仕方がない。
私は、与えられた薬を飲むと、ゆっくりと目を閉じようとした。
だが、目は開いたままだ。
「目を開けたまま死ぬのは、あんがい大変なものだな。」
それが私の最期の言葉だった。

目を開けたまま何時間過ごせるか?
ギネス記録に挑戦しようと張り切っていた私は、挑戦間際にテロリストに捕まえられた。
「お前の眼球に起爆装置をしかけさせてもらう。」
何だかよくわからない手術をされ、立派に人間起爆装置となった折。
テロリストたちは殲滅され、私は救い出された。どうせ助けるなら、もう少し早く助けてくれればよかったものを。
開放されて、一息つく間もなく、特殊部隊の隊長を名乗る人物にこう告げられた。
「残念ですが、あなたには死んでもらいます。」
「え?」
「あなたの眼球に仕掛けられた装置を取り除くことは不可能です。また、装置により起爆する爆弾は世界を滅亡させるのに十分な量です。」
聞けば、テロリストたちの要求は、人類全員の自殺。
できないならば自殺を助けるために爆弾を炸裂させる、というとんでもない終末思想の宗教団体だった。
人類殲滅爆弾というバカらしい名前を付けられた爆弾は、本当に人類を、いや地球そのものを破壊するのにも十分な威力を持っているらしい。
らしいというのは、確かめようとしたら、地球がなくなるので確かめようもないということだそうだ。
なんだかよくわからないふわふわした理由ではあったが、どうやら本当のことのようだ。やたらに真剣なのだ。本当はどっかにカメラでもあるのでは?と疑っていたが、ない。どこにもない。残念。
さらには、様々な偉い人間やら専門家に囲まれ、説得されているうちに、私も人類愛というものに目覚め「人類のためにこの身を捧げる!」などと、涙ながらに語ってしまった。
どんな状況でも、目を閉じることのない訓練をしていなかったら、今頃地球はすっ飛んでいただろう。

そんなわけで私は死んだ。
今話しているのは、私の超意識とでも言うべき存在なのだろう。あるいは魂か。
そして、どうやら私は、自分の葬式を上から見ていた。
全ては極秘の内に行われたので、私の死因は心臓麻痺ということになったようだ。
しめやかに行われていた葬式も終わりかけたころ、妻が最後にどうしても私の顔が見たいと言い出した。
棺おけの小窓を開け、私の顔を見た妻はギョッとしていた。当然だ、目が開いてる。
妻は涙を流しながら、右手で、私の目をそっと閉じさせた。

…あっ。
ラベル:千文字 小説
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2013年12月20日

『アホウドリとペンギン』大体千文字小説

どうも。ときめきの求道者ことどらっくすです。
寒くなってきましたね。むしろ寒すぎです。
今日も大体千文字小説です。といいつつ1150文字ですが、大体なので許して。

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『アホウドリとペンギン』

「お母さん、なぜ僕は飛べないの?」
「当たり前よ、だってわたしたちはペンギンだろう?ペンギンは飛べないものなのさ。」
「そうかなぁ?この翼は飛ぶためについているんじゃないの?」
「この翼は、泳ぐためのものさ。さぁ、はやく寝てしまいなさい。」
母ペンギンは、息子を寝かしつけると、自分もさっさと寝てしまいました。
「本当に飛べないのかなぁ、明日試してみよう。」

次の日、子ペンギンは大きな坂の上まで行きました。
「ここから滑り降りれば、勢いで飛べるかもしれない。」
子ペンギンは、翼を精一杯伸ばして、凍った坂を滑り降りました。
もちろんすこしも飛べません。
「おかしいなぁ、もう少しやってみたら飛べるかもしれない。」

その日から、くる日もくる日も、子ペンギンは、空を飛ぶ練習をしました。
それでも、すこしも飛べそうにありません。
「もう少し身体を軽くすれば飛べるかも。」
子ペンギンは、食事をすることをやめました。
それでもやっぱり飛べません。

母ペンギンは、何度も子ペンギンをしかりました。
「いいかげんにしなさい!何をしてもわたしたちが飛ぶことはできません。わたしたちはペンギンなの。」
子ペンギンは、頷いてはいるのに、聞いてはいませんでした。
「お母さん、僕はただ飛びたいだけなんだ。他のものは何もいらない。」
母ペンギンは、ただ泣くしかありませんでした。

ある日の練習中、目の前にアホウドリが降りてきました。
「一体何をしているんだい?」
「飛ぶ練習をしているんだ。」
「はははっ、そりゃおもしろい。ペンギンなんかが飛べっこない。」
それでもアホウドリは、少し離れたところから子ペンギンの練習をジッと見ていました。

何度も同じことを繰り返す子ペンギンに、アホウドリはあきれてしまいました。
「お前、そんなに飛びたいのか?」
「うん、飛ぶためだったら、他に何もいらないよ。」
「そうか。それならオレが背中に乗せて空を飛んでやろう。」
「えっ?本当に?」
「ただし、二度とは戻ってこれない。オレはこれから長い旅に出るんだ。」
「そんな…」
「それでも良ければ、今すぐに乗れ。」
「せめてお母さんに話を。」
「いいや、今すぐだ。」

子ペンギンは、少しだけ考えて、はっきりと言いました。
「ありがとう。でも、やっぱり乗れないや。」
アホウドリは微笑みました。
「そうだろう、君はペンギンだ。お母さんを大事にね。」
そういうとアホウドリは、バサバサと音を立てて飛んでいきました。
子ペンギンは、アホウドリの姿が見えなくなるまで見送って、家に帰りました。

「お母さん。僕は空を飛ぶということがどういうことか、ようやくわかったよ。」
子ペンギンはそういうと、母ペンギンの取ってきた魚を食べました。
「お母さん、ありがとう。」
母ペンギンは、子ペンギンを見つめて、やさしく微笑みました。

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書き終わってから、ペンギンってほんとにお腹で滑るのか不安になったので検索したら、こんな動画がありました。

かわいいな。ペンギンは。
ラベル:千文字 日記 小説
posted by どらっくす at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 創作文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月19日

『目線』大体千文字小説

どうも。ときめきの求道者どらっくすです。
最近、日記を書いても同じことの繰り返しになっていたので、ちょっと目先を変えてみました。
というわけで、大体千文字小説「目線」というお話です。

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『目線』

「突然呼び出してすまない。実は、死のうと思っているんだ。」
「え?」
「ついては、私を説得してみてほしい。」
僕は、ただ呆然としていた。
以前からおかしなところのあるやつだったが、とうとうここまでおかしくなったか。
「そう…、なんだ。」
「この世の全てを経験した…そんな風に感じてしまってね。」
彼の目線は、僕をしっかりと捉えていた。にもかかわらず、はるか遠くに焦点があってるようでもあった。
「この世の全てって、まだ経験したことのないことはたくさんあるだろう。」
「いや、根幹を味わってしまったということさ。これから起こるであろうことは、全て枝葉にすぎない。」
「根幹?」
「ああ、私のことを殴ってみたまえ。」
こいつは異常性癖なのだろうか?
「何も考えず思いっきり殴りたまえ。」
僕は、何だかイラッとしたので、思いっきり殴った。反動で自分の手に伝わる痛みの倍は、彼の方が痛いはずだ。
だが、彼は平然としている。
「この痛みは知っている。」
彼の目は、僕を見ているのだろうか?遥か遠くを見ているようで、自分自身の深遠を覗き続けているようでもある。
「君は、僕を見てはいないね。」
一瞬、哀れむような彼の目が、僕に一斉に降り注いだ。見られすぎていて気持ちが悪い。
わけのわからぬ衝動に駆られ、もう一発殴った。
彼の目は、また自分自身の内を見る目に戻った。
「もう誰かを見ることもできない。見透かすつもりはなくても、全てが見えてしまうんだ。」
僕はこんなにも、誰かを殴ることに躊躇のない人間だったのだろうか?
いや、彼がもう人間とはいえないせいかもしれない。
「そう、私はもう怪物なのかもしれない。」
僕はジッと彼を見つめた。
彼の目は、相変わらずどこかを見つめているようでもあった。
「それで?僕は何を?」
彼は黙ったまま懐から包丁を出した。
「死ぬところを見て欲しい。」
沈黙。
「…わかった。」
彼の覚悟を見届ける。それが僕の役目のようだ。
「ありがとう。」
彼の微笑みを、久しぶりに見た気がする。
「どういたしまして。」
僕は微笑み返した。
彼の完全であることへの探究心に感服した。
「君は、君自身を殺すことで、完全になるってわけだ。」
僕の軽口に、彼はビクッと身体を震わせ、それからこちらをゆっくりと見た。
さっきまでの、深遠を見る目でも、哀れむような目でもなく。
ただ、ジッとこちらを見ている。
「どうした?」
突然、様子の変わった彼に、僕はたじろいでいた。背中がぞわぞわとする。
「そういえば…」
彼の笑顔は、より完全に近づいていた。
「まだ、人を殺したことはなかった。」
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ラベル:日記 千文字 小説
posted by どらっくす at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 創作文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月19日

セリフ

今どこに立ってるかじゃない。これからどこに行きたいかを聞いてるんだ。
posted by どらっくす at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 創作文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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