ちゃんぷる〜日記。

どうせ誰も読んでない。

2019年03月29日

「人間らしく」

ニコニコとした顔が、一瞬にして真顔に戻る。
そんな瞬間が嫌いだ。
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」
「ハンバーガーセットで」
「かしこまりました」
笑顔だった店員が一瞬にして真顔になる。

技術の発達により、ロボットが対人業務を行うようになった。
初めのうちは抵抗があった人たちも、相手が人間ではないという気楽さに次第に慣れていった。
インターネットで買い物をするのと同じだ。
どこか遠くで人の目に触れることはあったとしても、今目の前ではない。
何を買ったとしても、誰の目を気にすることもない。
人間などというものは、一つ気にすることをやめることができれば、二つ三つと増やしていくことができるものだ。
店員の目を気にしなければ、客同士の目も気にならなくなる。
客同士の目をより気にさせなくするための施策として、客の中にもロボットを一定数配置することにした。
誰がロボットで、誰が人間なのか。
管理者以外にはわからないようになっている。

「あなたは人間ですか?」
店員に尋ねる。
一瞬不思議そうな顔をした後に「はあ、そうですが……」と答えてくる。
あまりにも人間らしい答えに、私は笑いそうになった。
どんなロボットも、人間として行動するようにプログラムされているのだ。
人間らしさを研究し、人間らしさをプログラムする。
人間が人間らしくあるためではなく、人間らしいモノを作るために。
なんともバカげた話である。
「お待たせしました。ハンバーガーセットになります」
「ありがとう」
私は空いている席を探す。
店内は仕組まれたかのように客が配置されている。
実際仕組まれているのだ。
私がこの店に入ろうとした段階で、私のお気に入りの席を素早く分析し、そこだけは埋まらないように客を配置する。
そうすることでリピーターを増やすのが狙いだ。

いつもの席に着席し、ハンバーガーセットを食べだす。
周りの客の声がなんとなく聞こえるが、会話の内容まではわからない。
注意深く聞けばわかるかもしれないが、人間の会話ではないかもしれない。
ロボットの会話を盗み聞きしたところでたいした意味はないだろう。
もっとも人間を殺す算段でもつけているのであれば別だが。

そもそもこの店の中に人間は何人くらいいるのだろうか?
試しに全員殺したら、何人が本当の人間なのか。
数人くらいはいるのだろうか?
それとも全員がロボットなのかもしれない。
ぐるりと店内を見渡す。
一見して判断はつかない。

どうも近頃は、危険な妄想に憑りつかれているようだ。
誰が人間で、誰がロボットだろうと構うものか。
殺してまで確かめるほどのことなどありはしないのだ。
また明日この店に来て、この席に座り、このハンバーガーセットを食べる。
それだけで十分じゃないか。
posted by どらっくす at 10:57| Comment(0) | 創作文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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