「何?」
「いや、ワクワクしてきたなって」
「この状況で?」
明らかに殺意を持った人間に、首を絞められていた。
知らぬ間に馬乗りになられていたのだ。
抵抗する気になればできるのかもしれない。
とはいえする気にもなれない。
なにしろ泥酔状態なのだ。
全てがめんどくさい。
「一体何でまた」
首を絞めようとしてるのか、と続ける前に手に力がこもった。
反射的に跳ね除けようするが力が入らない。
グネグネと体を動かすと首を絞める力が緩んだ。
「喋るな」
口を動かそうとしたが遮られた。
もうどうにでもして欲しかった。
きっと何か俺がやってしまったのだろう。
再び首を絞める力が強くなった。
相手のことすらよくわからない。
見覚えがあるような、ないような。そんな相手なのである。
「正直なところ」
相手の声が遠くなっていく。
「私もなぜこうなっているのかわからない」
もしかしたら、これは悪夢で、俺はただ寝ているだけかもしれない。
「でも、こうしなければいけない」
一層首を絞める力が強まった。
悪い夢ならば覚めるだろう。
現実なら、ただ死ぬだけだ。
これってワクワクしないか?


